ロールス・ロイス初BEV「スペクター」にある安心感 BEVになっても変わらない信念と乗り味だった

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スペクターの加速フィールは内燃機関を搭載したファントムの重厚な走りをトレースしているかのようだ。丁寧な速度調整がやりやすい一方で、しっかり加速させるには意図的にアクセルペダルの踏み込み量を増やす必要がある。とくに極低速域から強めの加速を行う際は、いっそうの踏み込み量を求めてくる。パワーリザーブメーターで言えば80~75%の値を占めるくらいに踏み込むと意図した加速フィールが得られるイメージだ。しかし、こうした強めの加速を行っても車内は快適なまま。ひたすらマジック・カーペット・ライドが続く。

スペクターのリアビュー
スペクターのリアビュー(写真:三木宏章)

電動駆動モーターの制御は1万分の1秒単位(人の瞬きの約1000倍)で行えるから、内燃機関のように吸気、圧縮、燃焼、排気というサイクルを待たずして駆動力が増減できる。それにもかかわらず、スペクターは内燃機関での走り味を電動駆動モーターで見事に再現したのだ。回生ブレーキもしかりで、Dレンジのままでの走行時は内燃機関モデルでの減速度と同じく緩やかに働く。

回生ブレーキから感じるBEVらしさ

走行性能に表現されるスペクターのBEVらしさは回生ブレーキ機能に見てとれる。シフトノブに配置される「Bボタン」を押下することで、アクセルペダルを戻した際の減速度がグッと高まり、そのまま停止まで行える。いわゆるアクセルペダル操作だけのワンペダルで運転できるのだが、単に強い回生が働くのではない。

スペクターのペダルまわり
スペクターのペダルまわり(写真:三木宏章)

低速域では、分解能の高いオルガン式のアクセルペダルとの相乗効果によって、同乗者の頭が振れないような減速度調整が思いのままに行えた。もっとも、周囲の交通状況によってはブレーキペダルに踏み換えてしっかり減速、停止する必要性はあるものの、Bボタンの成熟度はとても高かった。

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