ドワンゴは、だから採算度外視で将棋をやる 人類とコンピュータの勝負は新たな段階へ

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人間とコンピュータ、どちらの頭脳が上なのか。棋戦を主催する、ドワンゴの川上会長(一番右)ら。

2016年春、“人類代表”と“最強のコンピュータ”が再び激突する。

「第1期電王戦」と銘打たれたこの大一番は、ニコニコ動画を運営するドワンゴと、日本将棋連盟が主催する新しい棋戦だ。勝負は先手と後手を入れ替えて2局行われる。1回の勝負で人間とコンピュータが考慮する時間はそれぞれ8時間。対局は2日間の長丁場になる。

これに先駆けて、東京・千駄ヶ谷の東京将棋会館では6月20日、糸谷哲郎竜王と郷田真隆王将など、総勢154人のプロ棋士たちの中から人類代表を決める新棋戦「叡王戦」(えいおうせん)が始まった。各段位別(四~九段)で予選を開催し、勝ち抜いた16人がトーナメントに進出。この優勝者が「叡王」の称号を獲得し、電王戦への出場権を得る。叡王を迎え撃つコンピュータは、今年11月に開催されるコンピュータ同士のトーナメント戦でトップに立つソフトだ。

この春に行われた、将棋電王戦FINAL

プロ棋士とコンピュータが対局をする「将棋電王戦」は過去にも行われていた。2012年から始まり、5対5の団体戦で争われた第2、3回目はいずれもプロ棋士側が負け越して話題に。今年の春には「将棋電王戦FINAL」として最後の団体戦が開催され、生中継で延べ200万人近くの視聴者が人間とコンピュータの死闘に釘付けとなった。

終了後の会見で、「これからも電王戦を何らかの形で続けていきたい」と話していたドワンゴの川上量生会長が6月、新たに発表したのが、この旧電王戦を発展させた第1期電王戦と叡王戦になる。新たな電王戦は個人戦だ。

ドワンゴにとっては赤字事業

ドワンゴにとって棋戦主催に伴う負担は決して軽くないはずだ。金額は公表されていないものの、スポンサーとして、優勝賞金や対局料をはじめとする運営費を負担しなければならない。あるドワンゴ関係者は「これまでも将棋関係のコンテンツ作りには巨額の費用をかけている。将棋目当ての有料会員も増えているが、それだけでは当然、赤字だ」と実情を明かす。

それでもドワンゴが電王戦にこだわるのはなぜか。

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