ドワンゴは、だから採算度外視で将棋をやる 人類とコンピュータの勝負は新たな段階へ

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ドワンゴの動画や生放送などを総称したサービス「niconico」の有料会員数は244万人。このniconicoを含む「ポータル事業」の売り上げのうち、現在は約8割を有料会員への課金で稼ぐ。

将棋ファンを、新たなニコニコ動画の視聴者にできるか(撮影:今井康一)

今後は有料会員に加え、広告収入の拡大も重要なカギとなる。将棋という伝統と格式のあるジャンルに力を注ぐことで、高単価の広告を出稿する大企業の関心を高めていくのがドワンゴの戦略だ。今年2月には日本を代表する大企業トヨタ自動車と手を組み、クルマを将棋の駒に見立てた「リアル車将棋」を実施。対局者に羽生善治名人を招くことにも成功した。

棋戦を手掛けるもう一つの狙いは、新たな視聴者の獲得にある。現在、ニコニコ動画の視聴者層は約4割を20代が占め、30代は約2割、40代以上も2割弱にとどまっている。熱心なファンが多い将棋コンテンツを充実させることは、年齢が高いユーザーへのアプローチとして有効な手段になる。実際に「将棋コンテンツの視聴者は30代も多い」(ドワンゴ広報)。

将棋連盟にとっても新たな戦いが開催されるメリットは大きい。インターネットを通じ将棋の普及が進み、プロ棋士の給料に直結する公式戦の数も増える。「新棋戦はニコニコ生放送で数多く中継され、将棋界には個性的な棋士がいるということを皆様に広く知っていただけたらと思っている」(谷川浩司会長)。

タイトル保持者との対決、ついに実現か

新たな電王戦では、タイトルホルダーとコンピュータの対局が実現するかもしれないという期待もされている。過去の電王戦では、自薦他薦を含め将棋連盟が参戦する棋士を決めてきたが、「タイトルホルダーは連盟のものとは考えていない」(谷川会長)という立場から、これまでタイトル保持者が選ばれることはなかった。通常のタイトル戦は新聞社が主催しており、将棋連盟の一存では出場を決められないという事情があるからだ。

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