円急落よりマズい「円弱体化」が進む日本の末路 多くの国民の生活水準が腐食しかねない

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フリーフォールはどこにあるのだろう?確かに、円はわずか2日間で155円から160円まで動いた。しかし、それは為替トレーダーによる需要の高まりによるものだ。彼らは財務省が介入する「レッドライン」を認識していなかったため、慎重に動いていた。ドル・円が155円より安く推移し、財務省の動きがないと判断した彼らは突然160円台を試した。

円の乱高下はこれまでもあった

しかし、突然の動きは継続的なフリーフォールを意味する訳ではない。下記のチャートがそれを示している。このチャートは、連続する20日間の取引期間中に円の価値がどれだけ上下したかを示している。

先日の急な動きは、2022年と2023年初頭に数回あった急な動きよりはるかに小さい。このチャートが示すのは、円のフリーフォールではなく、上にも下にも変動が大きいということだ。

1ドル=160円でさえ、円の価値は、日本の輸出企業の生産性が他国に比べて高いことや、日米金利差といった経済のファンダメンタルズとほぼ一致している。

仮に本当に円がファンダメンタルズからかけ離れたフリーフォール状態にあるとしよう。それこそ、為替介入が有効な状況であり、特に他国と協調して行われる場合に有効である。

そのうえ、日本には通貨パニックを撃退する十分な武器がある。日本は現在、ほとんどの年で貿易赤字を計上しているが、より広範な指標である国際経常収支では黒字を計上している。

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