ハウス、500万個突破「クロスブレンド」の大勝負 定番バーモントカレーとの密接な関係とは?

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2023年8月の発売時には、営業努力のかいあって数多くのスーパーの店頭に並び、販促の企画なども頻繁に実施された。

商品を担当する山本氏は、スパイスでコクなどを表現したことが特徴だと説明する(記者撮影)

全国でテレビCMを放映し、1400万人超と食品メーカー屈指の「友だち数」を誇るLINEでの情報発信も進めた。新規軸の風味、手に取りやすい価格、売り場の企画。さまざまな戦略が絡み、ヒットへとつながっていった。

過去のルウ商品と比べても好発進となったクロスブレンドカレー。今後はブランド確立に向けた段階に入る。

山本氏は「2月に辛口がそろったので、今後が勝負になる。新しいフレーバーを出すよりも、まずはこの3品(甘口・中辛・辛口)を根付かせたい。そこに資源を投入していく」と意気込む。

値上げを巡るメーカー各社の葛藤

近年、値上げラッシュの様相となった食品業界。コスト増への対応として値上げは欠かせないが、どれだけロングセラーの商品であっても、値上げ後も消費者の支持を集め続けることは難しい。

安さを求め、他社製品や量販店のPB(独自企画)商品に流れてしまう消費者は非常に多いのが現実だ。特に嗜好品は売上数量が一時的に2割減などと大きく落ち込むこともある。

そんなシビアな消費環境で、どうすれば自社商品のファンをつなぎとめられるのか。新機軸を打ち出し、価格面も抑えたクロスブレンドカレーのヒットは、現在の業界の勝ち筋を示す重要事例といえそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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