STARTO始動でテレビ・出版は"忖度"を払拭できたか 旧ジャニーズ時代からの変化とリアルな現状

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一方、STARTOは10日にホームページを開設し、SMILE-UP.に所属していた28組295人のタレント、185人の社員とともに本格始動することを宣言。さらに同日、東京ドームで13組72人が集うスペシャルライブ「WE ARE ! Let’s get the party STARTO!!」を開催しました。

まだまだ被害者補償は続き、両社の関係性などに懸念点は残っていますが、STARTOと所属タレントが大きく前に進もうとしていることは間違いないでしょう。ではテレビ局や出版社などの大手メディアは彼らの起用判断をするうえで、旧ジャニーズ事務所時代からの忖度を払拭できているのか。

日ごろテレビ局や出版社とやり取りをしている立場から、見聞きしているリアルな現状を忖度なしであげていきます。

物販に強い=視聴率や配信再生数が取れる

まずNHKを除く民放各局は、日本テレビの「新規起用の検討段階に入った」という見解でおおむね一致している感があります。

各局のテレビマンと話をしていると、東山紀之社長のSMILE-UP.が再び影響力を高め、福田淳社長のSTARTOが再び性加害を起こすと危惧している人はすでにいません。仮にそんなことがあったら、テレビ局が受け入れたとしても、世間の人々からは許されずビジネスが破綻することは明白だからです。

表向きは「引き続き注視していく」という慎重なニュアンスであるものの、コア層(主に13~49歳)の個人視聴率と配信再生数を得るために新規起用を進めていくことが既定路線。それ以前に昨秋から今春にかけてのキャスティングで、「本当に新規起用はなかったのか」と言えばグレーなニュアンスがありました。

民放各局はドラマやバラエティなどの番組ジャンルを問わず、「キャスティングは以前から決まっていた」というコメントを押し通してきましたが、「何月何日に契約した」などの詳細を明かすケースはほぼありませんでした。世間の人々は「このキャスティングは新規起用かどうか」を知ることができない……というより、もともと「どうしても知りたいことではない」ためグレーな回答で許されるところがあるのでしょう。

STARTOには、令和5年間の音楽セールス動向をまとめた「オリコン令和ランキング」の「アーティスト別セールス部門 新人」で1位のSnow Man(460億円)、2位のSixTONES(256.7億円)、4位のなにわ男子(143.7億円)など、「現在最も物販に強い」と言われるグループがいます。3位のYOASOBI(170.6億円)、5位のAdo(115.4億円)、7位のJO1(89.5億円)、8位のNiziU(82億円)、10位のVaundy(78.9億円)の顔ぶれと売り上げを比べれば、いかに彼らの勢いがあるかがわかるでしょう。

物販に強い=ファンの熱が高く、「視聴率、配信再生数ともに取れる」「ネット上の反響が大きい」ため、特に民放各局にとって彼らは「グループでなくても1人でも出てほしい」という存在。水面下で争奪戦が起きていることはあっても、新規契約の打診がまったく行われていないとは考えづらく、噂話レベルですが筆者もいくつかのオファー内容を聞いています。

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