「死にいたる事も」意外と知らない歯周病の"怖さ" なぜ歯周病菌は普通の歯磨きでは死なないのか

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歯周病菌が歯周ポケットから体内に入り込むと、体は当然、歯周病菌を異物だと認識します。そのため、炎症反応を起こすのですが、歯周病菌の持つ「莢膜(きょうまく)」と呼ばれる防御壁は、免疫細胞の攻撃から身を守るだけでなく、免疫細胞から敵として認識されづらくするというステルス性も持っているのです。

守りだけではありません。

歯周病菌は攻撃にも優れており、ジンジパインと呼ばれる酵素を作り出します。この酵素はタンパク質分解酵素で、料理にも応用されることも多いのですが、これが人体というタンパク質の塊の中に入ってしまうのですから大変です。

しかも、ジンジパインの酵素はかなり強力です。肉がタンパク質なら、それを形作る細胞だってタンパク質。つまり、免疫細胞そのものを攻撃することもできるのです。

さらに、攻撃性の高い一部の歯周病菌は人の血液が大好物。まるで吸血鬼のような性質を持つこの歯周病菌は、体内でさらに増殖していきます。

ただでさえ、攻撃力も防御力も高くてなかなか倒せないのに、拍車をかけるように増殖速度も上がる……。そのため、免疫細胞は終わることのない戦いを強いられることになるのです。

そして、戦っている間は、炎症反応が起こり続けます。

この長期に渡る炎症反応により、歯周病は歯肉炎だけに留まらず、数々の悪影響を及ぼし始めるのです……。

崩壊へのカウントダウン

歯周病と聞いて、最終的には歯茎がボロボロになって歯が抜け落ちると考える人も多いと思いますが、まさにそのとおりで、これは、歯周病による炎症の最終局面です。

まず、なぜ歯が抜けるのかというと、歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える骨が減っていくから。70〜80%ほど、減ってしまうと歯を支えられなくなり、抜け落ちてしまうのです。

炎症で骨が減る?と不思議に思う人もいるかもしれませんが、これが長期化する炎症の恐ろしさなのです。

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