「早い者勝ち」が実は通用しなくなっている背景 私たちは「優先されるため」にいろいろしている
貴重な希少資源の所有者は、他の方式を選ばず、ひたすら行列させて先頭の人に資源へのアクセスを与える方式を選んだのだろうか。それとも特定の行動を誘導するために、早い者勝ちと何か別の方法を組み合わせるハイブリッド方式を採用しているのだろうか。
単純に早い者勝ち方式を選んだとすれば、この方式が所有者の(隠れた)目的の実現に都合のいい技術的・道徳的選択肢だったことになる。その隠れた目的は、あなたにもっと払わせることかもしれないし、相乗りの奨励や競争の回避かもしれない。あるいは、顔を青くペイントして熱狂的に応援してもらうことかもしれない。
「早い者勝ち」か「評価の高い順」か
目的を察知したら、あなたはこう自問するといいだろう。どうやったら所有権をうまく設計して人々の行動をこちらの思い通りに誘導できるだろうか。昔ながらの早い者勝ち方式が利益を最大化する最善の方法だと決めつけるべきではない。親としてあるいは教師として、自分が一番だったと自己申告した子どもに報いるべきなのか、それとも現に列の先頭にいる子どもに報いるべきなのか。
あるいはエアビーアンドビーのような民泊のホストとして、一番先に申し込んだグループを優先するのか、それとも評価の高いゲストに限定するのか、それともあなた自身が独自基準でゲストを選別するのか。
もちろん早い者勝ちには優れた点が多い。運用しやすく、公平性や平等性という私たちの直観的な物差しにも適合する。聖書の昔から採用されているのも理由あってのことにちがいない。
だが早い者勝ちは原始的な方法であり、容易に攻略されたり裏をかかれたりするという弱点がある。得られるはずの価値が得られないことも多い。また、望まぬ客を招き入れる結果になることも多々ある。その結果、希少資源の所有者は早い者勝ちで所有権を与えるやり方を考え直すようになった。
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