東大生解説、米「221年ぶりセミ大量発生」驚く真相 1兆匹との予測も!「素数」で読み解くメカニズム

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1兆(1,000,000,000,000)は0が12個つく数字です。そして、1匹のセミの体長がおおよそ2.5~3cmくらいであるため、1兆匹のセミを縦に並べるとその長さは2500万~3000万キロになります。地球の周の長さがおよそ4万キロ、地球と月の間の距離がおよそ38万キロであることを考えると、ものすごい数字であることがわかるでしょう。

このように特定の年、時期に大量発生するセミのことを、「周期ゼミ」と言います。アメリカを中心に、さまざまな種類の周期ゼミが存在しており、その集合体ごとに発生年度、そして発生周期が異なります。その年度ごとに、「ブルード1」「ブルード2」というように通し番号をつけてセミの集団を区別しているのです。

この周期ゼミは、寿命のほとんどを地中で幼虫として過ごし、特定の周期で一斉に羽化して地上に現れます。地上に現れた後は数日で寿命を迎えてしまうため、代が移り変わっても常に一定の周期でまた発生するのです。

ちなみに日本では、セミの寿命は5~10年ほどと言われていますが、アメリカのセミは15年以上のものもあり、アメリカのセミのほうが寿命は長いのです。

「13年周期」と「17年周期」のセミが同時発生

今年大量発生することが予測されている周期ゼミは、発生周期が17年の「17年ゼミ(ブルード13)」と発生周期が13年の「13年ゼミ(ブルード19)」です。この2種類のセミが同時に発生するのは、「13×17=221」であるため実に221年ぶり、つまり1803年以来であることから、近代で一番のセミの大量発生であると騒がれているのです。

実は、現在この周期ゼミは、今年同時に発生する13年周期のものと、17年周期のもの以外ほぼ絶滅してしまったといわれています。元々、周期ゼミの周期は12~18年と幅広く存在していましたが、この数百年の間に12年周期や14年周期のセミなどはその多くが絶滅してしまい、「13年」「17年」の2種類が残ったのです。

いったいなぜなのか。実はここに、「数学」の謎、そして面白さが隠れているのです。

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