米国の人種差別は「旗」を下ろしても消えない 「白人家庭は黒人家庭より7倍裕福」という事実
[ロサンゼルス、6月27日(ロイター)]- アメリカ南部の各所で公共の場から南部連合旗を取り外すようにという声が高まる中、ヴァネッサ・ホワイトは自身のようなアフリカ系アメリカ人にとって、それが本当の意味で前進なのかどうか疑わしいと言う。
このカリフォルニア州コンプトンに住む57歳の女性建設労働者は、怒りをかき立てるほど、あまりに多くのことを目にし、耐えてきた。彼女は、数年のうちに5人もの家族が銃によって殺されてきた。彼女の二人の兄弟は28歳と38歳だった。甥は19歳、姪は16歳、姪の母親は28歳だった。彼ら全員が十代で学校を中退していた。
「普通の生活が許されるなんて思ったことがありません」とホワイトは、昨年ロサンゼルス南部の貧困地域で買ったこぎれいな二階建ての家で語った。
南部連合旗を除去しても根本解決にはならない
6月17日夜、チャールストンの教会で起きた9人の黒人礼拝者が人種的な偏見によって虐殺された事件の後、国中のアフリカ系アメリカ人が、公共の場から南部連合旗を取り除く運動が急速に広まっていることを称賛している。しかしこの取り組みを支援する人々でさえ、大量の黒人男性をを投獄したり経済的かつ教育的な機会が与えられていない、といった根本的な人種差別と彼らが考えることを問題提議するのに、あまり役に立たないのではないかと考えている。
ホワイト曰く、彼女の見解は子供の頃から人種差別にさらされてきたことと、彼女が機能していないと表現する家族によって形成された。シングルマザーであった彼女の母親はアルコール依存症で、彼女の兄弟たちも若いうちから犯罪に手を染めていた。彼女は人種のせいで、まともな人間ではないと感じながら育ったと言う。
「16歳のある日」と彼女は回想する。「小さな白人の子供たちが"ニガー、出て行け!"と叫びながら私を追い掛け回しました。これは決して忘れられません」。