全米に暴動が伝播、「白人警官不起訴」の衝撃 <動画>深く根を張った"人種差別"という病根

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提供:ロイター(音量にご注意ください)

いま全米では市民たちの怒りの輪が広がっている。8月9日、ミズーリ州ファーガソンで、白人警察官ダレン・ウィルソン氏が武器を持たない無抵抗の黒人男性マイケル・ブラウンさん(18歳)を射殺した衝撃的な事件は、日本でも報じられており、多くの読者が耳にしていることだろう。

残されている監視カメラの映像によると、両手を挙げて抵抗しないことを表明している市民をいきなり殺したということがわかっている。当然、警察官は罪に問われそうなものだ。ところが11月24日に大陪審はこの白人警察官を不起訴とすることを決定した。これが公正さに欠けた決定だとして、全米に抗議運動が広がっているのだ。

動画は26日水曜日のロサンゼルスでの抗議デモの様子である。

今の社会にうんざり

コミュニティーのリーダーであるナジー・アリ氏は次のように訴えている(動画:1分19秒~)。

ナジー・アリさん

「みんな怒って苛立っている。私たちは、ダレン・ウィルソンが起訴されるべきであり、マイケル・ブラウン殺害について裁きを受けるべきだったと信じている。私たちは戦うことをやめない。私たちは次に、司法省と戦う。願わくは、司法省が彼を起訴して、彼に裁きを受けさせて、殺人を犯した彼が入るべきである刑務所にいれてほしい」

デモ参加者の多くは、「マイケル・ブラウンのために正義を」といった看板を掲げながらロサンゼルスの街を行進している。怒りを抑えきれず、主要な高速道路を塞いで地元の幹線道路へのアクセスを妨害する人波もあった。そのためロサンゼルスでは、200人近い人たちが抗議活動で逮捕された。

アイビー・クイチョさんは次のように語っている(動画:1分39秒~)。

アイビー・クイチョさん

「色々な背景をもつ人々が集まっている。フィリピン人、パレスチナ人、ラテン系アメリカ人、黒人、アジア人、アジア太平洋地域の人など、さまざまだ。社会的階級も多彩で、学生や教師もいる。多様で巨大なグループが抗議の声をあげている。私たち全員が、今の社会にうんざりしている。そして私たちは、マイク・ブラウンのために正義を求めている」

この抗議活動のまとめ役であり、ルカという名前で通っているある女性は、次のように言う(動画:2分25秒~)。

ルカさん

「この国全体で起きているデモはひとつの象徴だ。目に見える象徴であって、それはとても重要で、大きく成長をしているところだ」

ロサンゼルス以外にも、ボストン、ニューヨーク、ダラス、アトランタをはじめ、多くの街で抗議活動が起こっている。このマイケル・ブラウン射殺事件は、米国の人種間関係に関する議論に火を付けている。

デモの様子からは、低所得者層が社会への不満をぶつけている様子もみてとれる。株価が最高値更新を続けるなど、一部で好景気に沸く米国だが、深刻な分裂状態に陥っているようだ。オバマ大統領は、この分裂を押しとどめるリーダーシップを発揮できるだろうか。

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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