「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由 STARTO社とSMILE-UP.社の「切り離し」が焦点

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③ の人員体制については、STARTO社の取締役の大半は、旧ジャニーズ事務所ではない外部から招聘している。しかしながら、旧ジャニーズ事務所でジャニーズジュニアの育成をしていた井ノ原快彦氏が、STARTO社の取締役となっていることの是非については、議論の分かれるところだろう。

STARTO社のスタッフの多くは、旧ジャニーズ事務所に所属していたとされている。性加害に加担していないことを確認したうえで受け入れているとのことだが、どこまで確認が行われていたのかは明確でない。

再発防止特別チームの報告書では、スタッフの多くがジャニー喜多川氏の性加害を知りながら、見て見ぬふりをしたり、性加害を容認するような言動を取っていたりしたという。どこまでを「加担していない」と見なしているのか、基準は不明なままだ。

④ の資本関係についてだが、資本金の1000万円は経営陣や従業員が出資したとされているが、運転資金はそれで足りるはずがない。SMILE-UP.社から資金提供を受けたという話は出ていないが、どこから資金調達を行ったのか、いずれ説明が必要になってくるだろう。

まだ見えていないSTARTO社のビジネスモデル

先述の初イベントは大過なく行われたようだが、最終的にはSTARTO社が安定的に収益を上げ、タレントの芸能活動が継続し、発展をしていく必要がある。

STARTO社の初イベントの同日、タレントグループの嵐が新会社の立ち上げを発表した。グループとしては、STARTO社とエージェント契約になるという。TOKIOおよびメンバー個人が所属する株式会社TOKIOも同様にSTARTO社とエージェント契約を締結している。

ファンクラブの運営や版権が依然としてSMILE-UP.社側に属し、稼ぎ頭の人気グループがエージェント契約となっている現状は、旧ジャニーズ事務所の「一番おいしい部分」を手放しているといえる。

STARTO社の公式サイトをみると、各タレント、グループがさまざまな活動を始動しているようだが、コストに見合った十分な収益が上げられるのか、外から見る限りは明確ではない。上述の懸念事項である、ファンクラブや版権のSTARTO社への移管は、STARTO社が継続して大きな収益を上げられるようにならないと実現は難しい。

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