「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由 STARTO社とSMILE-UP.社の「切り離し」が焦点
また、被害者への誹謗中傷の防止という点でも、対応は不十分だ。3月30日にBBCの会員専用チャンネルで「捕食者の影 ジャニーズ解体のその後」が配信されたが、BBCモビーン・アザー氏の誹謗中傷に対する対応に関する質問に対し、東山紀之社長は「言論の自由もあると思うんですね」とコメントしている。
これは適切な発言とは言いがたい。SMILE-UP.社、あるいは東山氏は、被害者への誹謗中傷をやめるようにと、数度にわたって呼びかけを行っている。しかし、誹謗中傷はいまだに止まらない状況だ。SMILE-UP.社の力だけで止めることは不可能にしても、呼びかけは続けるべきだし、BBCに対しても報道された際に「誹謗中傷は許されない。当社としても全力で対応を講じる」くらいのことは言ってもらいたかった。
ジャニー喜多川氏以外の加害者への対応が不十分である
上記のBBCの番組の中で、東山社長はジャニー喜多川氏以外にも2名の加害者が確認できていると述べている。「警察に報告すべき」というアザー氏からの提言に対して、東山社長は「法的なことを考えると、僕らには権限がないと思いますので、当事者の人たちがそれに対して刑事告訴したら、僕らとしたら全面的に協力する」と解答している。
「権限はない」というのは事実ではなく、被害にあった当事者でなくとも、警察に報告することくらいのことはできるはずだ。
ジャニー喜多川氏以外にも性加害を行ったスタッフがいたことは、文春が以前に報じていたし、再発防止特別チームの報告書にも記載されている。つまりは既知の情報だ。
再発防止特別チームが行った聞き取り調査は、43名(内、被害者等23名、事務所関係者18名)に過ぎない。1000人以上の被害者がいることが想定されている現状で、全貌が明らかになっているとは言いがたい。
しかしながら、日本では「徹底的な調査を行うべき」という論調にはなっていないし、政府も介入する気配は見られない。ジャニー喜多川氏以外の加害者の存在が問題視されることはなかった。SMILE-UP.社が警察に報告をして、警察が本格的に捜査を行うとなると、まだ明るみに出ていない事実が明らかになる可能性もある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら