「ドジャースとの契約」に殺到した日本企業の本音 水原氏の問題が一服しても消えない「心配事」

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もちろん、大谷選手も同じだったと言える。今回の件で大谷選手が完全に潔白であったとしても、トラブルに巻き込まれたという事実、スポンサー契約にリスクが存在しうることが顕在化したことは無視できない。

ひとつ事例を紹介したい。2022年12月、ナイキはNBAのスター選手カイリー・アービングとの数100万ドル規模のパートナーシップ契約の終了を発表した。アービングが反ユダヤ主義的な内容を含む映画へのリンクをSNSに投稿したが、当人が反ユダヤ主義者であることを明確に否定しなかったのが契約終了の理由だ。

大谷選手が今後このような行動を取ることは考えにくいが、だれかの行動を第三者が逐一監視して完全にコントロールすることができない以上、個人と高額の契約を交わすことはどうしてもリスクが大きくなってしまうことは理解しておくべきだろう。

今年の1月、大谷選手がプロスポーツ史上最高額でエンゼルスからドジャースへの移籍が決定した。それ自体は、非常にめでたいことなのだが、スポンサー契約している企業にとっては悩ましい部分もある。

大谷選手と契約している三菱UFJ銀行、JAL(日本航空)のコーポレートカラーはエンゼルスのチームカラーと同じ赤である。しかし、移籍後のドジャースのチームカラーは青で、それぞれの競合企業である、みずほ銀行、ANAのコーポ―レートカラーと同じだ。

所属する球団チームカラーとコーポレートカラーが一致しないだけならまだしも、競合企業のコーポレートカラーに変わってしまうのは、悩ましいところだ。

今後、三菱UFJ銀行やJALの広告に、ドジャースのユニフォームをまとった大谷選手が登場することは、恐らくないと思われる。コーポレートカラーは、企業にとって思いのほか重要なもので、自社の広告費を使って競合企業のコーポレートカラーを消費者にアピールするようなことはあえてやりたくはないだろう。

JALとANAの「競合かぶり」問題とスポンサーメリット

この辺で、日系大手航空会社のJALが大谷選手と、ANAがドジャースと契約しているという、同業での「競合かぶり」の問題について触れておきたい。

本件は、過去の業界慣行を破っているケースとも言われることがあるが、実際はもう少し複雑だ。

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