40歳過ぎたら下り坂「残りの人生をどう生きるか」 稲垣えみ子×中村医師「手放すことは怖くない」

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稲垣:確かに、「人生がもう半分済んだ」と考えたら寂しいですよね。でも考えようによったら、下っていくってすごくラクで自由じゃないですか。

ずっと上っていくってしんどいですよ。競争社会の中で負けて転落しないように努力し続けなきゃいけないって、ある意味地獄です。その競争を終えてもいいんだ、違う価値観を見つけていいんだって思えたことは、私にとっては希望でしたね。

中村:下り坂の中にも希望を見いだすというのは、今、何らかの病気を抱えている患者さんにもいえることなのかなと、感じました。

「今ある時間が濃くなる」って思っている

稲垣:人生の時間が限られているとわかったなかで生きていけば、今ある時間が濃くなるって思っているんです。何しろ遠くない将来に死ぬんだから、たとえ失敗したところで大したことない。そう思ったらやりたいことはシンプルにやるだけです。うじうじしていないで「やるぞ!」っていう。なんかロックな感じになってくるんですよ。

中村:まさにロックですね(笑)。私も稲垣さんのように生きたくて、断捨離を試みたんですけど、なかなか進みません。

稲垣:私はだいぶハードコアなんで、真似する必要はないんじゃないでしょうか(笑)。ただ、お金と幸せは直結しないということには気づいたほうがいいと思っていて。

例えば、毎日ごちそうを食べることが幸せとは限らない。よく、死ぬ前に食べたいものを聞くと「おにぎりとみそ汁」とかって答える人が多いですよね。そうだとしたら、毎日おにぎりとみそ汁を食べられたら、めっちゃ幸せじゃないですか。そこに気づけばお金の不安がなくなります。

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中村:お金を持って三途の川は渡れませんよね。私は稲垣さんの本を読んで、まずは洗面台掃除のたわしを捨てて手で磨くようにしたら、「手ってなんて便利なの!」という気付きはありました(笑)。

稲垣:そういう小さな気付きがきっと大切です!

(後編に続く)

(司会・構成/岩下明日香)

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稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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