男性との収入格差が縮まらない女性の不当な現実 改善しているように見えても実態は違った
下の図表は、働いているかいないか、またどのような形で働いているかを問わず、20歳から69歳までのすべての男性と女性を対象に、個人年収の格差の推移を示したものである。
全体平均を1としたときの男性、女性それぞれの年収は、1985年で1.684と0.413、2015年では1.517と0.576である。格差は縮小傾向にはあるものの、2015年時点でも男性の年収は女性の2.63倍に達している。
このように男性と女性の間の格差に注目すれば、格差社会という言葉が使われるようになるはるか以前から、日本は紛れもない格差社会だった。
すでに何人かの論者が指摘していることだが、2000年代に入ってから格差拡大が注目されるようになったのは、男性の間の格差が拡大し、とくに学校を出たあとに正規雇用の職を得ることができず非正規雇用のフリーターとなり、貧困に陥る若い男性が増加したことによる部分が大きい。
M字型カーブのからくり
近年、男性と女性の間の個人年収の格差は縮小傾向にある。その原因の多くは、依然として大きいとはいえ賃金の格差が縮小してきたことに加え、職業をもつ女性の比率が上昇し、収入がまったくない女性が減少したことにある。
以前に比べて、女性が家の外で仕事をもって働くのが容易になったのは事実だろう。しかしこのことは必ずしも、結婚・出産を経てもなお就業を継続する女性が増えたということを意味するわけではない。しばしば誤解されるのだが、就業を継続する女性はまだまだ少ないのである。
下の図表のようなグラフをみたことのある人も多いだろう。横軸に年齢、縦軸に女性の労働力率をとったグラフで、一般にはM字型カーブと呼ばれることが多い。
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