タイでの邦人援護件数は減少だが、すり・置き引き・ひったくり被害は依然高水準


「少年犯罪は、学校を卒業しても就職先が少ないなどの社会に対する不満が引き金となって発生していることもあり、背景が根深く、解決も難しい。バンコクでは対立する職業訓練校の生徒によるナイフや銃での殺人事件が起こるなど、先のことを考えない分、エスカレートしがち」(前出・中西二等書記官兼領事)というから、怖い。

シラチャでは、今年に入ってからも日本人が狙われた。3月29日には、日本人が歩いて帰宅中、バイク数台に分乗した複数の若者たちに暴行を受け金品や携帯電話を奪われるなどの事件が3件発生した。

こうした事件の被害者には、歓楽街で遊んだ帰り道で酒気帯びの人もおり、そうした人は家族や世間体をはばかって被害を表面化させないことがある。シラチャの事件でも、地元警察に被害届けを提出しない人がいて、目撃者の証言から警察が犯人グループをほぼ特定できても、検挙できないため、再犯の危険が付きまとう。また、地方でのこうした被害は、大使館に直接相談がないことも少なくなく、当然、邦人援護統計にも反映されにくい。

暴走族を見掛けたら逃げるしかない

シラチャでは、事件を受け、地元のチョンブリ・ラヨーン日本人会が、地元警察や地元防犯委員会に働きかけるなどして、警察官によるパトロールの強化や街灯の増設などの対策を講じているが、それにも限界がある。

「シラチャは小さな町で、歩いて帰宅する人も多いが、地方の町ゆえ、夜道は薄暗く、人通りも少ない。日本人駐在員は夜間でも社用車を使うか、トゥクトゥクを利用したほうが安全。また、暴走族を見掛けたら逃げること」(怒和邦善・チョンブリ・ラヨーン日本人会会長)

タイの地方に社員を派遣する会社は、覚えておきたいアドバイスだ。

(アジアジャーナリスト・倉田陽平) 

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