いまの日本は、主要先進国の中で最も社会保障が貧弱な国の1つになりかけている。国は、政治家は、国民を恐れていない。事態は改善されず、安心して生きていけない社会の歪みが、愛する人の死を願う社会へと私たちを誘う。本当にこのままでいいのだろうか。
いまのわが家は、子どもの数がさらに1人増え、4人になった。だけど、以前のような不安はない。なぜなら……母と叔母が火事で死んだからだ。私は、2人の命と引き換えに、生活の安定を得ることになった。
最後まで私の幸福を願っていた母と叔母
2人が亡くなってすぐ、みんなで食事に行った、あの日の風景を夢に見た。
母はやはり私の声に応じようとはしなかった。でも、丁寧に食事を済ませたあと、私の胸の向こう、私の心のずっとずっと向こうのほうを眺めながら、「ニコッ」と微笑んだ。それは、邪気のない、天使のような、かわいらしい笑顔だった。
「なんね、お母さん、子どものごたる顔(子どものような顔)で笑って。かわいかねー」
なぜあのとき、そう言ってあげられなかったのだろう。母と叔母は、最後の最後まで、私の幸福を願い、そして迷惑をかけまいと死んでいった。目が覚めたとき、私の頬は涙で濡れていた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら