カーチス社長「目先の利益より"生涯顧客"獲得を」 業界全体で、健全な仕組み作りに取り組む好機

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車両の買い取り・販売に加え、車検や保険にも力を入れている(画像はカーチスのホームページのキャプチャ)

――金融業界出身の社長の目には、中古車業界が透明性に欠けると映っていますか。

透明性がないということは決してない。さきほども言ったように中古車は一物一価なので、お客様と会社がお互いに納得した値付けがなされればいい。ただ、標準的な、客観的な値付けができる仕組みができていたかというと、それはそうではない気もしている。

ビッグモーターの1番の問題点は、整備板金領域の不正をしたことだ。自分の車がどんな整備をされているか、どういう部材が使われていてどれくらいの工数が掛かっているのか、一般の人には正直わからない。だからこそ、本来は1番不正をしてはいけない。

不正によって瞬間的に儲かったとしても、問題が発覚すればお客様は次からは使わなくなる。お客様にご理解いただき、満足してもらうサービスを提供することで、生涯顧客は成り立っていく。目先の利益ではなくて、長いスパンでお客様を獲得することを、もっと意識しなければいけない。

ただし、不正をしているのは一部の会社、というか一部の人だ。最初からお客様を騙そうと思って業界に入ってくる人はいない。車が好きでお客様と接するのが好きだから入ってくる。

不正ができるような環境を作ってしまうことは会社の問題、責任だ。それを避けるには、とにかく現場との対話やコミュニケーションが重要になる。それに時間を費やすことが、ビジネスをやっていくうえで必要になってくる。

放置されたら魔が差すことはある

――カーチスで不適切な事案はないのでしょうか。各地に店舗と従業員を持っていれば、1人くらい魔が差すこともありえるのでは。

最近はまったくない。店舗が多いからこそ、本社と現場の、管理と営業のコミュニケーションが重要になる。放置されていたら、現場で魔が差すことも当然ある。何が不正で何が悪いことなのかというのも曖昧だ。そこはしっかり教えていかなければいけない。

私は時間があればとにかく現場を回るようにしている。メールや電話、ウェブだけでなく、対面で何が問題なのかをはっきり伝えて教育することがなによりも重要だ。問題が起これば本社と現場で共有し合い、それを解決しようと目を向けてあげれば不正は防げる。

――保険金の不正請求は、板金部門の不正でした。しかし、買い取り・販売も含めた中古車業界全体の信頼が低下しています。自動車保険やローンといった付帯商品が販売しづらくなったなどの影響はありますか。

お客様に対する丁寧な説明はより必要になってきた。付帯などさまざまな商材は車の価値を高めるもので、将来の買い取り価格にも反映される。決して悪いものを無理に販売しようとしているわけではない。

ただ、お客様の中古車業界に対するイメージとして、車両購入時にいろいろなことを押しつけられるというのがある。だからこそ、お客様との対話で商材の優位性をきちんとご理解、ご納得いただくことが必要だ。当社では、付帯のセールストークや販売のやり方を、すべての販売店に教育する機会を設け、相当の時間を費やして研修を行ってきた。

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