中古車大手ネクステージ社長が語る「信頼回復の道」 不正撲滅に「インセンティブ廃止」の大ナタ

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――業界最大手だったビッグモーターの弱体化は、ネクステージにとってチャンスですか。

買い取りにおけるお客様の満足は結局、「高値で買ってもらえること」だ。その点に関して、かつてのビッグモーターはすごかった。しかし、そのブランドが毀損して販売力が低下したことや、資金的に苦しくなったことで、積極的な買い取りができなくなり、当社の買い取り台数は増加している。

また、ビッグモーターは国土交通省から工場の指定取り消し処分を受けているので、その影響で“整備難民”となった方の当社への流入もある。

――伊藤忠商事がビッグモーターの事業再建を行う方向です。

伊藤忠はもともと輸入車ディーラーのヤナセを子会社に持つなど、自動車業界に関わってきた商社なので、それほど驚きはなかった。伊藤忠はしっかりした企業なので、信頼回復もやっていただけると思う。受け入れ先としてはよかったんじゃないかと考えている。

――ネクステージがビッグモーターを買収する可能性はなかったのでしょうか。

われわれ自身、昨秋にあのような報道をされてしまったので、まずは自分たちの目の前のことに対応するほうが重要だと思っており、そこについての考えはなかった。

バリューチェーンを構築し、中古車への見方を変える

――経済学で“レモン市場”という言葉があるように、もともと中古車業界は透明性が低く情報の非対称性が大きい市場の代表格です。どのように透明性を確保していきますか。

まずは、よりお客さんファーストでやっていくこと。今までの「年間20万の販売台数のうちクレーム率が1%しかないからいいだろう」という話じゃない。ご利用いただいたすべてのお客様に、「ネクステージはよかったね」と言ってもらうことが目指すところだ。

インセンティブをなくすことによってブラックボックスもなくなる。複数人による分業ができることによって、健全なサービスを提供できる。当社は大きく変わっていける。

――ビッグモーター問題に端を発して、業界全体の風評が悪化しています。どのように対応しますか。

われわれが推しているのは「バリューチェーン」だ。中古車を購入したお客様が、購入後も点検や車検、消耗品の交換を当社でしていただくことで、車両の品質がよい状態で担保される。そうした車両をお客様が当社に売却して、それをわれわれがまた新しく再販することによって、車両の品質自体が上がっていく。

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バリューチェーンを構築するのは、収益的な側面も当然あるが、車両の出所や整備状況をわれわれが把握して、品質向上にもつなげられる。そうすれば、車両のリユースはどんどん進む。「中古車はしょせん中古車だよね」というお客様の声を変えていく。

当社が業界大手として、そうしたサービスを展開することで成長している、収益を上げているところを見せることができれば、追随する企業が出てきて、業界全体が変わっていける。それがお客様の信頼回復につながって「中古車っていいよね」となって、中古車をもっとご利用いただけるようになると考えている。

村松 魁理 東洋経済 記者

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むらまつ かいり / Kairi Muramatsu

自動車業界、工作機械・ロボット業界を担当。大学では金融工学を学ぶ。趣味は読書とランニング。パンクロックとバスケットボールが好き。東京都出身。

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