中古車大手ネクステージ社長が語る「信頼回復の道」 不正撲滅に「インセンティブ廃止」の大ナタ
――インセンティブをなくせば問題が解決するのでしょうか。
決してインセンティブだけではないと思う。成長企業ゆえに従業員数も店舗もどんどん増えて、会社が目指すべき考え方を全員にしっかりと持たせられなかったことも要因の1つだ。
今後は会社の仕組みを変えるだけではなく、社員の教育も会社がしっかりと指導していく。目指すべき指標として“台数”や“粗利”を掲げるのではなく、お客様満足度などを一番頭に出す。
台数は結果としてついてくるものだ。“会社として何を大切にしているのか”というKPI(重要業績評価指標)自体を変えていくことで、会社も大きく変わっていく。
昨年10月以降は、朝礼や日報でも「昨日は何台売れました」「今月は何台売れました」「粗利がどうでした」ではなく、お客様からいただいた賞賛の声や不満の声、スタッフの満足度などを前面に出して朝礼や日報を作るようにしている。
人材流出を危惧して踏み出せなかった
――インセンティブは不正の誘因にもなりますが、従業員のモチベーションを上げるというプラスの側面もあります。廃止によって、そうしたプラス効果が失われる問題をどのように考えますか。
私は長年、インセンティブをなくしたいと思っていた。かつ、社外取締役からもそういった意見をいただいていた。今回廃止できたことで、ひとつ重い荷物を下ろした気分でいる。これまでインセンティブの廃止になかなか踏み出せなかったのは、ライバル企業に人材が流出してしまうことを危惧していたからだ。
反面、これまで現場では、同じ労働時間にもかかわらず、インセンティブの存在によって給料が倍くらい違うようなケースもあった。こうしたことに対する不満や、正当に評価されなかったことから会社を去ってしまう人もたくさんいたと思う。
インセンティブがなくなったことで、今後は人の定着ができるようになり、お客様の満足度も上がると思っている。
なぜかというと、インセンティブを気にせずに業務マニュアルのプロセスを意識して業務に準ずることが可能になるので、商品知識などを集約してお客様に提供できるからだ。これは最終的にお客様の満足度向上につながり、それによって販売台数や収益も上がっていくと考える。
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