専門家が指摘「紅麹問題」で表出する"重要な視点" 2014年には欧州でサプリによる健康被害の報告
「そもそも紅麹は、日本古来の麹とはまったくの別物です。いわゆる“麹の一種”と勘違いしないでほしい」
こう話すのは、麹の発酵食品を長く研究してきた東京農業大学教授の前橋健二さんだ。
「中国古来の紅麹菌と日本古来の麹菌は、微生物学的な分類が異なるだけでなく、使い方も違う。麹という言葉が独り歩きして、“紅麹=赤い麹”と思われる方もいると思いますが、それは間違いです」
この理由については後ほど詳述するが、まずは小林製薬が製造した機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」で生じた健康被害について振り返る。
最初の症例報告は1月15日
この問題が発覚したのは、3月22日。最初の症例が報告されたのは1月15日で、同社が事案を把握してから公表するまでにおよそ2カ月を要した。
3月26日には同社は、約3年間継続して紅麹の成分を含む健康食品を摂取していたとみられる1人が、腎疾患で2月に死亡していたと発表。さらに厚労省は同日、同社へのヒアリングの結果、別の1人の死亡事例があったことを明らかにした。
そして28日、さらに2人の死亡が明らかになり、亡くなった人は4人となった。
2人目の死因が腎疾患かどうかは確認するとしているが、1人目と同じ健康食品「紅麹コレステヘルプ」を摂っていたと見られている。3人目は「腎疾患を伴って亡くなった」と遺族から連絡があり、4人目も遺族からの連絡があったという。3人目、4人目も「紅麹コレステヘルプ」を利用していた。
同社によれば、「カビ由来の未知の成分」が健康被害の原因の可能性があるものの、いまだ特定できていないとのことで、消費者の間に不安が拡大している。
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