LinuxからAndroidへ「BMW」車載OSの劇的変化 重要度が高まるインフォテインメントの世界

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「Touch」とは、アプリを呼び出す際、階層を深く潜っていかなくてもすむよう、ウィジェットをモニターに並べておける仕組み。好みのアプリをワンタッチで呼び出せる。また、「Voice」によって音声で呼び出すこともできる。

「Touchはスマートフォンを使う感覚により近づけ、Voiceは車内で使いやすいよう体系的に再設計し、さらにAlexaなどに慣れているユーザーのことも念頭に置きました」とギューイン氏。

ミニカントリーマンで走行中の画面表示(筆者撮影)
ミニカントリーマンで走行中の画面表示(筆者撮影)

新型のミニ・カントリーマンも、OS9を搭載。このクルマでは、見た目が従来とまったく違う。インフォテインメントシステム用に円形モニターを引き継いではいるものの、今回は円をフルに使ったデザインになった。

地図も円全体に表示されるので広い範囲が見られるし、ユニークなのは音楽をかけたとき、円を利用してビニール盤(レコード)が回っているビジュアルを呼び出すこともできる。スクラッチもできるという遊び心も。これを可能にしたのは、OS9だからだそう。

回るレコード盤をDJのようにスクラッチできる(筆者撮影)
回るレコード盤をDJのようにスクラッチできる(筆者撮影)

高まるパーソナライズの重要性

「ドライバーがピンクのセーターで乗り込んだら、システムが色を認識して室内照明をピンクにするモードもあります。パーソナライズして、自分だけの空間だと思ってもらえることが、このセグメントのクルマには大事なのです」

ミニでデジタルプロダクト&サービスを担当するクリステン・アウグスブルク氏は、そうマーケティングの狙いを説明する。

遊び感覚といえば、ナビゲーション画面で自車位置を示すポインター(矢印)を上から長押しすると、ミニのアイコンに変わるのもおもしろい。

自車位置を表すアイコンがミニになっていることがわかるだろうか(筆者撮影)
自車位置を表すアイコンがミニになっていることがわかるだろうか(筆者撮影)

アウグスブルク氏が言う「小さなことが大きな意味を持つこともあります」との考えも、正鵠(せいこく)を射ているかもしれない。

5シリーズや7シリーズ、あるいはこれまでのミニのオーナーにとってちょっと残念なのは、OS8.5からOS9へのバージョンアップができないこと。“進化”についていくのも、たいへんなのだ。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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