LinuxからAndroidへ「BMW」車載OSの劇的変化 重要度が高まるインフォテインメントの世界
快適性を重視したという「エクスプレッシブモード」は、視覚で楽しむモードで、ガラスルーフのサンシェードが自動で開き、アンビエントライトはブルーとイエローに。初めて経験すると、けっこうびっくりすると思う。
アプリのローカライゼーション
私は現行5シリーズ(G60型)が2023年に発表された際、日本導入前のジャーナリスト向け試乗会でポルトガルを訪れ、このモデルに搭載されているBMW OSのためのアプリ開発部門を取材したことがある。
ポルトガルには2つのアプリ開発スタジオがあり、さらに世界各地でアプリ開発会社と契約しているとのことだった。車内のインフォテイメントが「たいへん重要」だと聞いたのもそのときだ。
音楽や映像のストリーミング、ニュースの読み上げ、対戦型ゲーム……と、アプリは豊富。ローカライゼーションといって、販売地域に応じたアプリを開発・搭載していくのだそうだ。
たとえば、日本向けにはテレビ局が配信するプログラムを観るアプリが入っている(テレビにこだわるのは日本だけらしい)。
このとき取材したのはOS8.5だったが、2023年2月に日本発売が開始された新型「X1/iX1」と、同年10月発表のX2/iX2で最新のOS9に切り替わっている。
「従来のOS8.5まではLinuxをベースに開発されていましたが、OS9はAndroidベースに変えました。理由は、Androidのほうが裾野が広く、アプリ開発においても協力してくれる企業が多いからです」
実は、先のホンダ・アコードもAndroidを使用するようになっている。やはり、開発のしやすさとユーザーに評価されやすい利便性が理由で、北米のアコードはAmazon Alexaも使えるそうだ。
BMWでは、自社のシステムを新世代「BMW iDrive(アイドライブ)」と定義。ユーザーに「エモーショナルなドライビングを愉しませたい」とする。
OS9の特徴としてあげられたのは、操作方法。OS9では、BMWが2000年代に先陣をきって採用した、iDriveの象徴たるダイヤル式コントローラーが廃止された。
「よりシンプルで直感的な操作を可能にするため、『Touch & Voice』なる機能を強化しました」と、OS9のデジタルプロダクトオフィサーを務めるハイコ・ギューイン氏は言う。
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