優良マンションの「認定制度」が抱える思わぬ死角 「居住者名簿」の扱いが管理会社によって違う
ほかの管理会社の場合、居住者名簿のあて名は、管理組合と管理会社になっている。ところが三井不動産レジデンシャルサービスは、2022年8月まで三井単独になっている書式だった。つまり、入居者から提供を受けた個人情報は三井のものであり、管理組合のものではないという主張である。
管理認定制度で居住者名簿の整備が条件に入ったため、2022年9月以降はあて名に管理組合も入れた書式に変更したが、それ以前に集めたものは従来通りの対応を続けている。
こうした対応について、三井は管理組合には知らせていないので、管理組合は居住者名簿の提供を求めて初めて、その事実に気付くことになる。
残る8社は、求められれば居住者名簿を開示すると回答したが、管理組合向けのコンサルティング業務に従事しているマンション管理士によれば、「現場レベルでは三井以外の管理会社も開示を拒否するケースがある」と語る。
情報の「帰属先」を明示する必要性
このマンション管理士は「住民間の交流がなく、何事も管理会社任せの組合は、管理会社のい言うなりだから都合がいいはずだ。管理組合は居住者名簿がないと何も判断できず、管理会社にすべてお任せになってしまう。居住者名簿が典型だが、管理会社は管理業務を通じて取得した情報は管理会社のものだと思っている。こうした情報は法的にも誰のものなのか明示されていない」と指摘する。
国は管理組合に自立せよと言っている。管理組合の自立を阻んでいる要素の1つが管理会社による個人情報の独占なのだとしたら、まずは情報の帰属先が管理組合にあるのだということを法的に明示する必要があるのではないだろうか。
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