利用の減少にあえぐ、JR西日本「越美北線」の未来 北陸新幹線「敦賀延伸」を機に利用を増やせるか

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こうした状況の中で、2007年に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が施行され、地域の交通については各市町村も積極的に関与し、行政と事業者が連携して計画を立てて実行してゆくことが努力義務化された。

福井県では、行政と事業者が連携して再生させたえちぜん鉄道と福井鉄道の事例があり、どちらも沿線市町の人口は減っている(2008年と2018年の比較でえち鉄沿線は3%、福鉄沿線は2%の減)のに、利用者はアップ(えち鉄は16%、福鉄は27%の増)している。県と沿線市町は220億円以上の財政支援をしてきた。だが、越美北線はJRの経営で独立しているので、直接的な財政支援をしたり受けたりできる関係ではない。災害復旧に関わる支援や駅舎の取得(管理の移譲)、車両ラッピングなどは為されてきたが、いずれも側面的な支援である。そのため、自治体側からJRに対するモーションは、「要望」することが主となる。

福井-大野間は2000年より7本減

しかし片や、全社的に厳しいエリアが多いJR西日本にとって、きわめて利用が少ない越美北線への積極投資の意志が働くかと言うと、残念ながらそうではない。2001年3月に快速をやめる減便があり、以後は小康を保っていたものの、コロナ禍に陥って二度の変化があった。

2021年3月、早朝に越前大野から九頭竜湖に送り込んでいた列車が営業列車から回送に切り替えられ、さらに10月、福井発下りと越前大野発上りの一番列車を削減、福井発下り始発が9時台、越前大野発10時台という現行ダイヤとなった。2000年当時の本数と比べると福井―越前大野間で7本、越前大野―九頭竜湖間で3本の列車が減っている。

終点の九頭竜湖。美濃白鳥まで貫く計画であったが実際に工事が進められたのは九頭竜湖まで。 ログハウスふうの洒落た駅舎があるものの列車が来るのは早朝から夜までの間にたった5回(写真:山下大祐)
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