トップに立ったのは野村マイクロ・サイエンス。最先端の半導体や液晶の製造過程で洗浄用途に使われる超純水の製造装置の設計や施工、販売を主力事業としている。同じように超純水製造装置を手がける栗田工業やオルガノと比較すると専業色が濃いことが特徴で、それだけに半導体産業の設備投資意欲が高水準で続けば、業績面でのプラス効果が大きそうだ。
直近の通期決算である2023年3月期の1人当たり営業利益は1276万円で、5年前の2018年3月期から4.41倍に増加した。今2024年3月期も事業が好調に推移しており、5期連続で営業増益の見通し。半導体の微細化・集積化が進むにつれて洗浄の重要性が増しており、事業環境には追い風が吹いている。
2位にランクインしたのは、半導体検査装置のレーザーテックだ。最先端の半導体製造に使われるフォトマスクやマスクブランクスの検査装置を手がけており、最先端半導体の製造に必要なEUV(極端紫外線)露光装置に使われるフォトマスク検査装置で市場を独占している。
直近期の2023年6月期の1人当たり営業利益は7251万円で、5年前の2018年6月期から4.23倍に改善した。5年間で連結従業員数は527人増の859人と人的規模が急激に膨らんだが、連結営業利益の額は約11倍と大きく上回るペースで急増している。業績の好調さや最先端半導体向けのEUVマスク検査装置でシェアを握っている事業の強さから、半導体関連の代表的な企業として株式市場では高い注目が続くだろう。
3位に入ったのは、半導体商社の東京エレクトロン デバイス。CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)などの半導体製品を扱う半導体商社で、東京エレクトロンの子会社だったが、2014年に保有株が一部売却されて現在は持ち分法適用会社となっている。
2023年3月期の1人当たり営業利益は1079万円で、5年前から4.18倍に向上している。半導体市場では在庫調整局面が一巡しつつあると言われており、今後は生成AI(人工知能)用途の需要急増も取り込み、回復に向かうことが期待されている。
4位には高収益の製薬会社
4位の中外製薬は、2023年12月期の1人当たり営業利益が5775万円で、5年前の3.45倍に高まった。抗がん剤、骨・関節領域に強く、抗体バイオ医薬では国内で先行している。親会社であるスイスのメガファーマ、ロシュの経営資源を活用して開発や販売を効率的に進めていることが好業績の要因になっている。2023年12月期の売上高は1兆1113億円で営業利益は4391億円、営業利益率39.5%の高収益企業だ。
5位のマクニカホールディングスは国内半導体商社のトップで、売上高1兆円規模を誇る。2023年3月期の1人当たり営業利益は1466万円で、5年前の3.01倍だ。海外メーカー製の半導体販売に強い同社は、3月6日に国内半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス製品を主に扱う同業のグローセルを買収し、業容拡大を進めている。
ランキングの上位は、東京株式市場で上昇相場の牽引役となっている半導体関連企業が多くを占めた。台湾にある世界最大の半導体製造受託会社・TSMCが熊本県に建設する半導体工場が2024年内の稼働を見込むほか、北海道でも最先端半導体の国内生産に向けた国策企業と目されるラピダスの工場進出が決まっている。直近の5年間で利益の創出力を高めてきたが、今後も継続的な成長を実現できるかに注目だ。
ただ、このところの株価上昇は半導体関連など一部の大型株の主導によるところが大きく、そのほかにも値上がり余地を大きく残している企業は多いはず。『会社四季報』春号の各企業ページの「特集企画」に、直近の従業員1人当たり営業利益と従業員数の5年前比較を掲載している。今後、株価の上昇気流をつかまえそうな企業を探すのに役立ててほしい。
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