AI時代に、なぜ「作文力」が重要視されるのか? 自分の価値を言語化できる子がこれからの優秀児
一文作文が書けるようになったら、次は三文、その次は五文……と、接続詞を正しく使って、徐々に短作文が書けるようにしていきましょう。五文程度の短作文が書けるようになったら、主観と客観の書き分けを意識させていくと良いでしょう。
主観とは、自分だけのものの見方や考え方。客観とは、多くの人が納得するであろうものの見方や考え方のことで、日本の国語のテストでは客観的に書かなければならない記述解答がほとんどです。ところが、作文や感想文、小論文などでは、主観的な意見を書く必要もあるわけですから、子どもたちには、この主観と客観の違いを小学生の頃からしっかり理解させておくことが大事です。
とはいえ、子どもたちは、そもそもなにが主観で、なにが客観なのか、その差がよくわかりません。そこで私は、客観的に事実のみを伝える文章と、自分の気持ちを伝える文章を日常的に書き分けさせることで、この違いを身につけられるよう指導しています。
例えば、エドゥアール・マネの「笛を吹く少年」を鑑賞してもらい、見てわかる事実のみを文章化させた後、「この少年に何の曲を吹いてほしいか?」と質問し、主観を述べさせます。
学齢が上がるほど、主観の強さの矯正は難しい
こうして、常に主観と客観の書き分けを意識させていれば、作文や小論文が上手になるのはもちろん、国語の記述問題に主観で解答を書いてしまうという手痛い失敗を防ぐこともできるのです。
しかしながら、主観と客観の違いをご家庭で教えるのはちょっと難しいかもしれません。というのも、家族の価値観は似通っていることが多いので、家庭内での価値観が世間一般の価値観であると勘違いしてしまうこともままあるからです。
その価値観の微妙なズレが、顕著に文章に表れてくるのが、高校生になって取り組む小論文です。学齢が上がれば上がるほど、主観の強さは矯正するのが難しくなりますから、ご家庭ではひたすら語彙を増やすことと、一般常識のインプットなどに専心し、作文指導は小学生の頃からプロにお任せするというのも、良い方策だと思います。
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