「ご利益を求める心で修行してはいけないよ」というのが、禅本来の考え方なのです。
「欧米的マインドフルネス」がメジャーに
目的を求めてはいけない、でも実践することにはメリットがある。
この一見矛盾するかのような「日本的マインドフルネス」の考え方が、資本主義に根差した欧米では理解されにくかったために、いろいろな要素を削り落として極めてシンプルにした「欧米的マインドフルネス」が広まったのではないか。
そんなふうに私は考えています。
閑話休題。こうして、禅がマインドフルネスへとアレンジされる過程で、モメンタムの要素は影をひそめていきました。
しかしそれは、欧米においては狙い通りの成果をもたらしたといってもいいでしょう。
リラックスと集中力強化のためのスキルとしてマインドフルネスはわかりやすく体系化され、海外企業に定着していきました。
ところで、このような疑問を持って私は、マインドフルネスをビジネスの世界で実践的に活用することから、経営コンサルタントとして企業内の創造性開発や人材のパフォーマンス改善、組織開発などに取り組んでいる知人の恩田社長に意見交換を持ちかけました。
その際、恩田さんは次のような話をしてくれました。
「欧米の文化は個人主義的に自立心を幼少から醸成するので、もともと前進思考のモメンタム的な素養を持っている人が多いということです。