「年をとったら借金はダメ」と思う人の重大な盲点 間違った思い込みを捨てて老後の生活が豊かに
バランスシート(貸借対照表)の負債項目にある借金と資産項目の設備とのバランスをうまく図りながら収益を上げ、借金の元利金も返済していく。これができれば、企業経営としてはいくら借金してもまったく問題ない。
むしろそれをやらないほうが企業家精神に欠ける消極的な経営だと、株主から烙印をおされかねない。
つまり借金はすべてが悪ではない。もちろん金利が上昇に向かえば、こうしたローンも使い勝手が悪くなる。
しかし、企業活動の収益が利払いを上回っているかぎり、つまり利払いを続けることができるかぎり、前向きに取り組むべき選択肢の一つだ。この鉄則は、企業でも個人でも、若年層でもシニア層でも変わらない。
ただ誤解のないように言っておくが、私はここで信用取引を推奨しているのではない。本当に実現するか不確かな値上がり益を根拠に借金で株式を買うのは厳重に慎むべきである。
年齢を重ねるほど現金を大切にすべし
いまから十数年前になるが、私が50代半ばに差し掛かった頃のことだ。別の会社に勤務する学生時代の3歳年下の友人B君がいた。彼は30年近く独身生活をエンジョイしたあと、50代前半になってようやく現在の奥さんと知り合って結婚した。
それまで横浜市の郊外の実家で両親と暮らしていたが、新婚生活を営むための住居が必要になり、都心で4000万円以上もする2LDKのマンションをキャッシュで購入したのだ。
私は彼からこの話を聞いたとき、二重の意味で驚いた。
1つ目は独身生活を長期間続けるとこんなにお金が貯まるのかという点であり、2つ目は50代という年齢になってキャッシュで不動産を購入したことだった。
1つ目は、冷静に考えれば別に驚くことはなかった。独身で実家暮らしを30年も続ければ、住宅の費用や子供の養育費がかからないので、地方出身の既婚者に比べて、たくさんのお金が貯まることは理解できる。
私が2人の子供を養育している頃、子供に大学教育まで受けさせると最低でも一人当たり2000万円はかかるといわれて驚いた記憶がある。
それから逆算すると、未婚で子供のいなかった彼が住宅を買うのに4000万円もの大金をポンと出せるのは、当然と言えば当然だった。
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