「年をとったら借金はダメ」と思う人の重大な盲点 間違った思い込みを捨てて老後の生活が豊かに
私は、歳をとるほど手持ちのキャッシュが重要になると思っている。そのキャッシュの多寡によって、人の経済的な豊かさの感じ方が大きく変わってくるからだ。
手持ちのキャッシュが多ければ豊かな気持ちになれる。何をするにしても財布の中身を心配する必要がなくなる。これは大事なことだ。
たとえば周囲に対しては大らかになれる。生活の活動範囲が広がる。自然災害や戦争の被害者、難民への義援金、母校や菩提寺からの寄付の要請などにも気持ちよく応じられる。
気軽に海外旅行や高級レストランでの食事に出かけられる。子供や孫へのお小遣いや資金支援にも応じることができる。
健康を害したときも、高度の治療や保険適用外の高い薬に手を伸ばすことができる。老人ホームへの入居でも頭金が足りないためにワンランク落とさざるをえないようなこともなくなる。
「ローン制度」という発明を放棄する必要はない
キャッシュをどう使おうが借り先から口出しされることはない。
発展途上国ではまだまだ住宅ローン、自動車ローンの制度がないために、一部の金持ちしか人生の豊かさを享受できないケースが多い。一般の庶民は購入資金がすべて貯まるまで自宅や自動車の購入を先送りしなければならない、という。
一方、先進国の若い世代は2~3割程度の頭金さえ貯めることができれば、早い段階からローンで自宅や自動車を購入して快適な生活をエンジョイできる。ローン制度は人類の偉大な発明の一つだといっても過言ではない。
その偉大な発明を高齢だからという理由で自ら放棄してしまうのはもったいない話だ。
かなりの高齢になって体の自由がきかなくなれば自動車の運転免許は国に返上するのが筋だが、ローンは何歳になっても返済能力さえあれば返上する必要はない。
この“第2”のキャッシュの一部をうまく長期の高配当利回り銘柄への投資に活用できれば(短期投資ではないことに注意)、生活をさらに豊かにすることができる。
企業でいえば、銀行や資本市場から借金で資金を調達して工場を建設し、そこで製造した製品を市場で販売して安定的な収益を上げていくことと同じだ。
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