パッケージ化された保険に入ってはいけない 保険は簡単でわかりやすい商品なのに……

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それでも、まだ余分な保障がパッケージのなかに入っていることがあります。例えば、死亡保障がほしいのに、入院すると1日につきいくらかの給付金がもらえるような医療保障が付いていたりします。「医療は特約なので安くてお得ですよ」と言われ「それならばついでに付けておくか」とついついそのまま入ってしまいます。これが間違いのもとです。いくら安くてもいらない保障はムダに過ぎません。パソコンについている、使わないアプリと同じです。迷わず取り外してしまいましょう。

保険に「安かろう、悪かろう」はない

ここまで保険をシンプルにすると、目的の保障だけのスッキリした保険になります。たとえば、定期保険(一定期間を保障する死亡保険)のようなイメージです。シンプルなので「費用(保険料)」対「効果(保障額)」が簡単に比較できます。
ここまで整理すれば、あとは一番保険料の安い保険会社を選べば終わりです。たとえば、「10年間、死亡保障1000万円の死亡保険」ならば、いくつもの保険会社の保険料を簡単に比較することができます。保険はコモディティ商品なのですから安いほどよいのです。保険に「安かろう、悪かろう」はありません。「安かろう、よかろう」が保険です。

パッケージ保険は消費者のためでなく、保険会社側の事情によってつくられた保険です。その仕組みの狙いは3つあります。

ひとつ目は、他社の保険商品と簡単に保険料の比較ができないようにするためです。消費者が簡単に価格を比較できるようになると、商品の値崩れ現象が起こります。そうなると利益が極小化され始めます。保険が住宅ローンのようにコモディティ化されることを、保険会社は何とか避けたいのです。

2つ目はパッケージ化することで手数料の高い保険を潜り込ませやすくなります。たとえば、死亡保険に手数料が厚めの医療特約を付けることで利益をさらに上乗せできます。そもそも利益率の高い(=手数料が高い)死亡保険に医療保険を付加することで、保険会社にとって「2度おいしい」ことになります。保険営業員や保険代理店に支払う販売手数料の財源はこのようにつくられます。

3つ目は保険営業員にとってパッケージ保険は「売りやすく」しかも「販売手数料が高い」からです。「これ一本で大丈夫」という説明は簡単です。しかも消費者に対してそれなりの説得力を持つ話法であることも事実です。そして単品の保険と比べると、パッケージ保険は保険料も高いですから販売手数料もその分大きいので魅力があります。

このように保険会社にとり、パッケージ化することのメリットは大きいのです。しかし消費者にとってパッケージ保険は百害あって一利なしです。

保険選びも「シンプル・イズ・ベスト」でなければなりません。

橋爪 健人 保険を知り尽くした男

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はしづめたけと / Taketo Hashizume

1974年東北大学卒、1984年米国デューク大学修士。日本生命保険に入社後、ホールセール企画部門、米国留学、法人営業部門を経て米国日本生命副社長。帰国後、損保会社出向、ジャパン・アフィニティ(保険ブローカー会社)代表取締役を経て2004年独立。企業向け保険ビジネスのコンサルタントとして活動。著書に『日本人が保険で大損する仕組み』(日本経済新聞出版社)

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