投資からお勉強まで中国人トップが日本に熱視線 中国語で取得できるMBAのため留学した社長も

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張さんは日本にファミリーオフィスのビジネスチャンスがあるのではと興味を持っている。ファミリーオフィスとは、富裕層の一族向けに資産承継、金融や法律、税務、ビジネスまで幅広いサービスを提供するビジネスだ。中国人富裕層の流入をうけ、シンガポールでその設立が相次いでいることが知られる。

河南省でLNGの販売事業や太陽光を含めた新エネ関連事業を展開する経営者の郭暁健さん(51)は若い頃に高等教育を受ける機会がなかった。そのため、体系的に学び学歴をつけられるこのプログラムを選んだのだという。「日本の先進的な経営管理を中国に持って帰りたい」と郭さんは意気込む。

その他にも学生たちの需要は様々だが、なぜ日本の大学が中国語でMBAを開講するのか。背景に、国内の少子化に直面する日本の大学の生き残り戦略があるのは容易に想像できる。

しかし、それだけではない。昨今中国では経済成長が鈍化するなか、生き残り策を探るビジネスパーソンの間で「日本に学びたい」というニーズが高まっているのだ。

中国の経営者が日本でスタディツアー

コロナ以前から中国では「游学(ヨウシュエ)」(先進国を訪れて各所を視察しながら研修するスタディツアー)は流行っていた。最近では中国の経営者が投資先を探すことを視野に入れ、MBA同窓生などのグループで来日するケースも目立つ。

首都圏在住で日本への「游学」を10年ほど前から定期的に企画・実施している、在日歴の長い中国人男性が話す。「日本への游学を実施している団体は20くらいあります。北京大学や清華大学、復旦大学のMBAやビジネススクールの長江商学院などがオフィシャルに、または卒業生のネットワークでやっているものもあるし、民間の団体が主催するものもあります」。

中国では先進国を訪れて各所を視察しながら研修するスタディツアーが流行っている。大阪、東京を6泊7日で回るツアーを告知するSNSの投稿(写真:筆者撮影)

その中心になるのは30〜40歳くらいの大都市の企業家だ。野村證券、セブン&アイ・ホールディングス、ユニクロを運営するファーストリテイリング、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ、三菱商事、東レ、日産自動車、トヨタ自動車などが人気の訪問先なのだという。

彼らの目的は、「少しだけ学ぶほか、一緒に行く経営者と酒を酌み交わし交流を深めること」(同前)らしい。

最盛期は新型コロナウイルス流行前の2018〜2019年ごろだった。年間で数百組の「游学」が実施されたと振り返る。最近は「ポストコロナ」がテーマとなることが多く、毎年100組くらいのペースに回復してきたと言う。

この男性が企画する「游学」は、宿泊費を含めた費用は1.5万〜2万元(約30万〜40万円)だが、4万〜5万元(約80万〜100万円)で参加者を募っているケースもあるそうだ。

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