ソニーホンダがマイクロソフトと組んだ「深い縁」 両社キーマンが明かす「AIで提携」に至った裏側

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――ソフトウェアが車の価値を定義する「SDV(Software Defined Vehicle)」という考えが出てくる中、何がこれからの車の競争力を左右すると考えていますか。

川西 車は高額なので、それに見合うだけのものが必要だろうなとはつねづね思っている。

そのときに何が大事か。ソニー・ホンダというよりはソニー目線になるが、既存の自動車を見よう見まねで作り直すのでは、何の意味もないですよね。それはホンダさんなり、トヨタさんがやっているので、そこにあえて出ていく必要はない。

そうでない進化を遂げられる可能性を見極めて、走る・曲がる・止まるという基本性能とは別の進化ができるだろうと。何かというと、モビリティーの中で圧倒的に遅れていたIT的な進化だ。

モバイルの進化と同じようなことが、モビリティーにも起きると考えている。

ビジョン実現のサポート役に徹する

――ソニー・ホンダに限らず、マイクロソフトから自動車メーカーに対して、何かこれまでに生成AIを用いた印象的な提案事例はありましたか。

沼本 とくにそういうような観点はない。

うちの会社のミッションは、地球上のすべての個人と組織人が、より多くのことを達成できるようにする、ということ。あくまで各パートナーがやりたいことを、うちの要素技術を用いて、水平的にサポートしている。

なので、われわれとしてはソニー・ホンダのビジョンの実現をサポートする、同じく協業しているメルセデス・ベンスのビジョンもサポートする、ということに徹している。

逆に「この業界・産業はこうあるべきだから、皆さんこうやってくれ」というスタンスではまったくない。

ソニー・ホンダモビリティの川西泉社長とマイクロソフト米国本社の沼本健CMO
ソニーとの橋渡し役を務めてきたマイクロソフトの沼本氏(左)と、モビリティー担当となる前から生成AIに関心を寄せていたソニー・ホンダの川西氏(撮影:尾形文繁)

――今後、このパートナーシップで目指していくことは。

川西 モビリティーの未来を見せていきたい。完成度はともかく、自分たちが子供のときに想像した未来の車を実現させることがミッションだ。

SF映画の中には、自然対話のように人とコンピューターが話すシチュエーションはいろいろあったと思う。そういったものを実現することが大事ではないか。

沼本 うちはあくまで、パートナーのビジョンをサポートするのがミッション。その中で、キーワードとしてクラウドとAIにはもちろん興味がある。そこでどう貢献するか、ということだろう。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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