ソニーホンダがマイクロソフトと組んだ「深い縁」 両社キーマンが明かす「AIで提携」に至った裏側
――決定打というのは。
川西 一問一答で返せるものはあるが、いわゆる雑談っぽく、ヒトのように話せるものは実現できなかった。自分たちには(AIに学習させる)知識のデータ量が決定的に足りなかった。
膨大なデータ蓄積という観点で、検索エンジンを手がけているマイクロソフトやグーグルと、それをやっていないソニーとの差はすごく大きい。自前では限界があり、マイクロソフトに2018年ごろからいろんなソリューションを紹介してもらうなど、結構な期間にわたって模索を続けていた。
その後、(深層学習モデルの)トランスフォーマーが登場し、チャットGPTがドンッと出てきて、「ああ、これはすごい」と。(マイクロソフトが提携する)オープンAI、チャットGPTの登場がすごく大きなインパクトだったことに加え、過去の関係性も踏まえたときに、やっぱり自然対話はマイクロソフトとやりたいと思った。
モビリティーの目線としては、そういうものを車室内の楽しみにできないかなと。今年のCESのときにも、人とモビリティーの関係性を少し変えていきたい、再定義したいというメッセージで打ち出した。これまでの人と車の「操縦する」という一方通行的な関係ではなくて、インタラクティブな関係に変えていく要素の1つとして、自然対話がすごく重要だろうと思っていた。
こうした背景から去年、マイクロソフトに声をかけた。
提携の裏にソニーとの深いつながり
――打診をマイクロソフト側はどのように受け止めたのでしょうか。
沼本 実はマイクロソフトとソニーには深い歴史がある。
例えば2019年、サティア(・ナデラCEO)と当時の吉田(憲一郎)社長とのクラウド提携に関する覚書締結の発表を私は手伝っていて、そこから実際にいろんなプロジェクトが生まれている。
ソニーのアイトリオスというIoTサービスのアジュール上での運用・サポートや、(ビデオ会議ツールの)Microsoft Teamsへの参加に便利な(ソニー製イヤフォンの)リンクバッズの認定機種などだ。
そんな中でこの問い合わせをもらい、(生成AIアシスタントの)コパイロットや生成AIの世界と、川西さんのチームが持っているビジョンの相性がすごくよかったので、ぜひサポートさせてもらおうという流れになった。
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