ソフトバンクは「本業が不明」だから強い? 孫正義が勝ち続けるたったひとつの理由

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孫正義社長の「常識外れ」の経営戦略とは!?(撮影:尾形文繁)
孫正義氏は経営の天才であると同時に、交渉の達人でもある。創業当初から世界の名だたる企業家を口説き落とし、事業パートナーになることで、ソフトバンクの成長を牽引してきた。同社の社長室長を務め、『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』(弊社刊)など孫正義氏の仕事術に関連する著作がある三木雄信氏が、相手の「Yes」を引き出すその交渉の戦略や手法について語った。

 

1981年の創業以来、ソフトバンクが成長し続けているのには理由がある。それは孫正義の卓越した交渉力だ。そしてその背景には、孫正義の企業戦略についての考え方が一般の企業戦略論とまったく異なっていることがある。

一般的な考え方とは真逆の孫正義流企業戦略

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一般的に企業戦略は、「自社の置かれた市場における機会と脅威をとらえて、自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱みの分析に基づいた企業の維持・発展を目指すための方針」などと説明されることが多い。だが孫正義の企業戦略は、このような考え方とはある意味、真逆と言ってもいいだろう。

孫正義の企業戦略論は「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索・選択し、その優位性を確立するためのヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を交渉によって短期間に調達し、一気にナンバーワンを目指す」というものだ。

孫正義は、既存の事業については基本的に部下に任せていく。そして、新規事業を立ち上げて、当初は自ら社長をしていても、あるタイミングで代表を新社長に譲り、また別の新事業に移っていく。事業規模にもよるが、数年でこのサイクルを回していくのが孫正義流だ。

つまり孫正義にとっては、本業とはつねに新規事業のことなのだ。ソフトバンクは時に「本業がはっきりしない会社」と批判されてきた。それは、ある意味で当たっている。なぜなら孫正義はつねに「自社が優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探索し選択」しているからだ。

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