セブン、そごう・西武に続きヨーカ堂売却を検討 売却先として名前が浮上する投資ファンド2社

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事情に詳しい関係者によれば、セブン&アイの経営陣は当初、イトーヨーカ堂を株式上場させることについて検討していたという。しかし、「改革が進んでいない中ではエクイティストーリーを描くことができず、上場は難しい」として売却を模索し始めた。

改革が進んでいない中で、イトーヨーカ堂の株式上場は難しいと判断されたようだ(編集部撮影)

セブン&アイは売却先として、「ライバルであるイオングループと、(ドン・キホーテを展開する)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスだけはノーだ」(セブン&アイ関係者)と主張。そこで浮上しているのが、いずれも投資ファンドである日本企業成長投資とアメリカのKKRだ。

伊藤順朗氏の右腕がパートナーのファンド

日本企業成長投資は、日本企業に特化して投資する国内ファンド。温泉旅館やリゾートホテルを手がける湯快リゾートや、水回りの緊急メンテナンスなどを手がけるクラシアン、眼鏡の製造小売を展開する金子眼鏡などへの投資実績がある。

日本企業成長投資のパートナーを務める横山淳氏は、イトーヨーカ堂創業者の次男である伊藤順朗氏を10年近くサポートしてきた右腕。伊藤氏は2023年4月からセブン&アイの代表取締役専務執行役員としてスーパーストア事業を管掌している。

イトーヨーカ堂はセブン&アイの祖業であり、売却に当たっては創業家の反対も予想される。しかし、伊藤氏と関係の深い横山氏がパートナーである投資ファンドであれば、そうした懸念も払拭される可能性が高いと金融関係者は見ている。

日本企業成長投資は国内の投資ファンドとはいえ、経営陣の多くがアメリカの投資ファンド、ベインキャピタル出身。横山氏もベイン出身者で、実態は外資系投資ファンドに近い。関係者によれば買収後、伊藤氏を社長に据えてイトーヨーカ堂の立て直しを図ることも検討されているようだ。

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