爆速で成長、中国BYD「テスラキラー」誕生の秘密 笑いものだった会社はなぜ頂点に立てたのか
中国エレクトロニクス産業の中心地である深圳を拠点とするBYDは、中国の自動車メーカーが、いかに電気製品における中国の優位性を活用できるかを示している。
中国はバッテリーEVやプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)を積極的に取り入れているが、BYDほどその恩恵に浴している企業はない。こうした車種は、世界で最も大きな中国の自動車市場の40%を占めるようになっており、来年には50%を超えると予想されている。
多くの中国自動車メーカーと同様にBYDも、ドナルド・トランプ政権時代の関税が残っているアメリカでは乗用車を販売していないが、そのアメリカでもBYDのバスは売られている。
BYDは中国のEV輸出を主導する存在で、輸出のために世界最大の自動車運搬船の建造を急ピッチで進めているところだ。その第1号船「BYDエクスプローラーNO.1」は、5000台のEVを載せて深圳から初航海に出ており、2月21日までにオランダに到着する予定となっている。
マスクが中国のEV輸出の強さに「警告」も
中国とBYDには、成功とともに一段と厳しい視線が注がれるようになった。
テスラのCEO(最高経営責任者)イーロン・マスクは1月の決算説明会で、中国のEV輸出の強さに警告を発した。「率直に言って、貿易障壁が設けられなければ、彼らは世界の同業他社をほぼ壊滅させるだろう」とマスクは述べた。
BYDの会長・王伝福(ワン・チュワンフー)は1995年、モトローラなど消費者向け電気製品のメーカー向けにバッテリーを製造する会社として同社を設立した。王はバッテリー化学研究の名門として名高い湖南省長沙の中南大学で学んだが、自動車製造を夢見ていた。