りそなHDと十六FG、業務提携に持たせた「含み」 資本提携に向けての協議も検討、落とし所は?
目下はデジタル分野での提携が先行する反面、資本提携については、まだ実現していない。とはいえ、りそなが2023年に公表した中期経営計画では、出資先の一例に「地域金融機関、異業種等」と明記し、その意志を明確にしている。
仮にりそなと十六が資本提携するとなれば、焦点となるのは出資比率だ。
この点、昨今のりそなは「余剰資本の活用」を掲げ、大胆な投資を繰り広げている。2024年1月には持分法適用会社だったリース2社を子会社化。資本提携関係にあるデジタルガレージへの出資比率についても、2024年内をメドに2%(2023年12月時点)から12%まで引き上げる。
金融機関に対しても、数%の出資にとどまらない可能性がある。
「持分法適用会社にして、収益を取り込むことも選択肢だ」。りそなの南社長は2023年に実施した東洋経済の取材に対して、「あくまで相手先の意向次第」と前置きしつつ、金融機関との資本提携について意欲を示した。
一般に持分法適用会社は、議決権所有比率が20%以上50%以下の出資先に適用される。
地銀出資への「布石」か
すでにりそなは、地銀出資の「布石」とも映る行動に出ている。現在のグループの資本構成は、りそな銀行と埼玉りそな銀行はホールディングス直下、関西みらい銀行とみなと銀行は中間持ち株会社である「関西みらいフィナンシャルグループ(FG)」の傘下にある。
りそなは2024年4月に、関西みらいFGを吸収合併する予定だ。関西みらい銀行とみなと銀行は、りそな銀行、埼玉りそな銀行と並列する形になる。
全銀行をホールディングスに並列でぶら下げる理由として、りそなはグループの意思決定迅速化を理由に挙げる。一方、見方によっては新たな銀行との資本提携や、場合によっては将来のグループ入りを進めやすくすることを視野に入れた動きにも映る。
この点、十六は中京圏の地銀としては最大規模かつ、名古屋市内にも強固な営業網を誇る。十六の大株主には三菱UFJフィナンシャル・グループが存在するが、同社は政策保有株式の縮減を急いでおり、りそなが受け皿となれれば好都合だ。りそなと十六が結びつきを強めれば、東名阪を股にかける巨大銀行グループが誕生することになる。
むろん、資本提携の落としどころは不透明だ。会見で、りそな傘下に入る余地を問われた十六FGの池田社長は、「ささやかなプライドだが、創業以来同じ名前を掲げる銀行としては、(現存する中では)最古だ」と独立の矜持をあらわにし、経営統合への慎重姿勢をにじませた。
両社の協議の結果、少額出資や株式の持ち合い、あるいは現状の業務提携にとどまる結末もくすぶる。
これまでの地銀の経営統合は、営業エリアが重複する、あるいは隣接する地銀同士で行われていた。りそなという広域な営業圏を誇る銀行グループが核となり、「地縁」がほとんどない者同士でどこまで統合が行われるのか。着地点によっては、地銀再編の歴史に新たなページを刻むことになる。
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