東京貨物ターミナル「羽田アクセス線」予定地の今 休止中の「大汐線」活用、りんかい線結ぶ線路も

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逆に南側の道路から見えるのは、東京港トンネルに入っていく東海道貨物線だけだ。東海道貨物線はトンネルに入ると西にカーブし、東京モノレール天空橋駅付近から多摩川の下を進むが、アクセス新線は南南東方向に延びて、羽田空港の第1ターミナルと第2ターミナルの間、京浜急行電鉄の駅付近に到達することになっている。

東海道貨物線東京港トンネル
大井南陸橋から見た東海道貨物線。画面手前に東京港トンネルがある(筆者撮影)

こうして見てくると、羽田空港アクセス新線は、東京貨物ターミナル駅の東端を通るので、貨物列車の運行に支障を及ぼすことはない。しかも新規路線とはいえ、多くは既存の線路や敷地を活用している。

巨大物流拠点の将来は?

冒頭で紹介した臨海地下鉄は、6.1kmの距離に約5000億円の費用が掛かると言われているのに対し、羽田空港アクセス新線は東山手ルート12.4kmが約2800億円となっている。東京23区内では費用対効果の高い新線と言えそうだ。

羽田空港アクセス線は速達ルートとして計画されているので、途中駅の予定は現状ではないようだが、3つのルートが集結し、電留線も用意されるので、災害や事故などに備えて乗降施設を用意するという考え方もあるだろう。

いずれにしても、首都圏の巨大物流拠点として君臨してきた東京貨物ターミナル駅が、空港アクセスというまったく違う機能も抱えることになりそうだ。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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