「お見舞い」「談話」北朝鮮が日本に発信する意図は? 日本が思っている以上に北朝鮮の対日姿勢は一貫している
1つめについては、例えば、「通日封南」のためという見方がある。これは核・ミサイルなどで安全保障上の脅威が増す北朝鮮に対し、日米韓は3カ国の同盟関係で対処しようとしている。この関係を崩そうと、あえて日本に柔軟な態度を示し、韓国の動きを牽制しようとしているのではないかという見方だ。
電文発表から10日ほどあとの2024年1月15日、最高人民会議での施政方針演説で、金総書記は韓国に対し「主敵」「もはや同族ではない」と対立姿勢をはっきりと示した。その数日前の、軍需工場への現地視察でもそのように述べたと報道されている。
韓国を牽制するため日本を利用した?
2022年の就任以来、韓国の尹錫悦大統領は北朝鮮に対し強硬な姿勢を続けている。とくに前政権で悪化した日韓関係を改善して、同盟関係の強化をも進めてきた。
そうした姿勢には韓国、とくに野党側から批判の声も強い。そのため、北朝鮮が日本への宥和的な姿勢を示すことで、韓国内の反政府側が攻撃しやすい材料を提供したという見方もある。
しかし、韓国や米国に向けて何か批判したいことがあるのなら、わざわざ日本を引き合いに出すという、回りくどい姿勢を北朝鮮は取る必要がない。
金総書記の実妹で朝鮮労働党副部長の金与正氏は、以前から「談話」という形式で、とても辛らつな表現を駆使しながら対南・対米批判を繰り返してきたことを思い出せばわかることだ。言いたいことがあれば、直接もの申すのが金正恩政権のスタイルでもある。
であれば、もう一つの理由として、2011年のときのように在日コリアンに向けたものか、とも考えられる。だが、「それはない。日本全体に向けてのお見舞いだ」とみる在日コリアンが圧倒的だ。
在日コリアン向けであれば「岸田閣下」とまで表記する理由がない。電文の内容自体も、日本国民全体に向けたものであることがはっきりと読み取れる内容だと口をそろえる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら