さらに、東名と並行する国道246号線も都内から神奈川県にかけて通行止めとなっていたほか、東京と横浜を結ぶ第三京浜も通行止めとなっていた。
つまり、多摩川中流域で東京都と神奈川県を結ぶ幹線道路が軒並みマヒ状態になっており、唯一といってよい中原街道にクルマが殺到したことが、私が目撃した「動かない車列」の原因だったようだ。
中原街道は、江戸期に東海道の脇往還として往来に使われた、江戸と神奈川県の平塚を結ぶ街道である。現在も五反田で国道1号線と分かれたあと、ほぼ東急池上線沿いに田園調布まで来て丸子橋で多摩川をわたり、川崎市中原区から横浜・港北ニュータウン方面を結ぶ主要な大通りとなっている。
「中原区を通るから中原街道と名付けられた」と思われがちだが、中原は平塚市の地名。「中原街道が通っているから中原区と名付けられた」というのが真相である。通常でも朝夕は通勤の車で渋滞が発生する道路ではあるが、今回の混雑は渋滞というよりも「閉じ込め」という状況であった。
なぜ、こんな事態になったのか?
経緯を改めて振り返ると、前週の木曜日あたりから週末、週明けにかけて「都心部でも雪の可能性がある」という予報は出されており、5日朝には「積雪の可能性が高い」ことが報じられていた。
そして、まだ雪が本格的に降る前、道路もまだ乾いている状態で首都高の多くの路線が相次いで計画閉鎖され、それと接続する高速道路も閉鎖された。
さらに驚いたのが、並行する国道の閉鎖である。国道は高速道路と違い、「特定の入口を閉鎖すれば、クルマが入ってこない」ということはなく、いくらでも脇道から進入できる。
これまで国土交通省やNEXCO各社では、高速道路と並行する一般道は、物流の妨げにならないよう「どちらかはできるだけ閉鎖しない」という方針だったが、片方閉鎖してももう片方にクルマが殺到して混乱する恐れもあり、実は近年、一般道でも予防的な通行止めを行う方針に転換していた。
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