24時間テレビ「再発防止策」は延命措置にすぎない 募金着服問題に進展…と言えるのだろうか?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

視聴者の抱くモヤモヤは、とっくの昔に、その先へ進んでいる。すでに疑惑の目は、ゴールである「使途」に向けられており、「本当に社会貢献に寄与しているのか」「番組制作費に流用されていないか」との問いに対するアンサーは、再発防止策では示されていない。

日本テレビチャリティー委員会
(出所:公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会公式HP)

性善説に立てばいいのであろうが、そうもいかない背景には、「テレビへの不信感」の高まりがある。故ジャニー喜多川氏の性加害問題を報じなかったことや、ダウンタウン松本人志さんの「神格化」、そして日テレでは『セクシー田中さん』の原作改変も問題視されている。

これらは一見、別ジャンルの事象にも見えるが、通底するものがある。いずれも「資金力にモノを言わせる手法」が背景にあること。そして、その権力構造の中心には、テレビをはじめとするマスメディアがあることだ。

下品な表現で言い換えれば、「札束で頬をひっぱたけば、なんとかなる」かのようなマインドが常態化していたのではないか……というのはやや筆者の主観がすぎるかもしれないが、しかしながら、テレビ局のスタンスや芸能人の神聖化、関わる人に対するリスペクトのない制作体制が、どれも時代錯誤になりつつあるのは、多くの人がうなずくところだろう。

スマートフォンに可処分時間を奪われることで、テレビの権威は相対的に低下した。またSNSの普及により、社会問題の可視化が進んだことで、「テレビが報じない出来事」が日の目を見る機会も増えた。

個人店を訪れた取材クルーが「出してやる」的な、上から目線で来たから断った……という体験談は、毎日のようにタイムラインに登場する。かねて24時間テレビに向けられていた「出演者は高額のギャラをもらっているのでは」との疑問も、このような「ギョーカイの論理」に対するモヤモヤからではないか。

「金で解決するバブリーな時代」を踏襲している

そうした切り口から、今回の再発防止策を見てみると、どうしても筆者には、「金で解決するバブリーな時代」を踏襲しているようにしか思えなかった。

キャッシュレス募金を導入するにしても、決済手数料は別途かかる。警備員を配置すれば、当然ながら人件費が必要だ。セキュリティーに見識のある輸送業者へ委託するとなれば、外注予算を見込まなければならない……。

次ページ視聴者よりも、自分たちの理屈で動いている
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事