24時間テレビ「再発防止策」は延命措置にすぎない 募金着服問題に進展…と言えるのだろうか?

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それから約2カ月たった2024年2月、日テレ系31局で構成される公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会は、内部調査の結果と、外部弁護士を含む不正防止対策チームの助言を基にする再発防止策を発表した。

調査は放送局関係者283人に、電話や対面で行われた。結果として、新たな着服事例は確認されなかったものの、寄付金の紙幣を両替に用いた事案と、寄付金入りの封筒の紛失が「不適切な取り扱い」として報告されたという。

(出所:公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会公式HP)

これらを踏まえて、新たに示された再発防止策は、大きく4つに分けられる。

まずは「寄付金取り扱いに関する規約」と「募金活動実施細則」の策定。ここでは、対面会場でのキャッシュレス募金の導入や、寄付金入り容器の規定シールによる封印、対面会場への警備員もしくは監視カメラの設置、2人以上での寄付金運搬作業・台帳管理の徹底などが定められた。

2つ目は、現金の運搬・管理をアウトソーシングする「専門業者への委託」。第3が、放送当日の「募金活動のモニタリング調査」。最後に、外部弁護士による調査を行うため、一定期間設置される「24時間テレビ不正通報窓口」だ。

問題の"本質"が見えていない日本テレビ

これらの対策に対して、SNSの反応は冷ややかだ。「信用回復は難しい」「いったん終了させたほうがいい」などなど。こうした意見に、筆者もおおむね賛同している。どうも日本テレビは、問題の"本質"が見えていないと感じるからだ。

着服が公表された直後、筆者は当サイト(東洋経済オンライン)に「24時間テレビ『募金着服』よりマズい最大の問題 すでに番組そのものが時代に合ってない可能性」(11月30日付)と題したコラムを寄稿した。

ここで筆者は、視聴者が長年にわたって「24時間テレビに対するモヤモヤ」を抱いていて、そこから「偽善」や「感動ポルノ」批判につながっていったと考察。募金についても「貢献の可視化」が求められる時代ゆえに、時代に合わせた形にアップデートしない限り、こうした疑念は拭えないだろうと指摘していた。

そうした前段を踏まえて、今回の発表を見ると、「延命措置を講じただけで、根本的な解決になっていない」と感じてしまった。再発防止策が示されたのは「現金の集金・運搬」のプロセスのみで、これは募金システム全体からすれば、あくまで入り口にすぎないからだ。

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