JR東海「リニア」トンネル工事進んでも静岡は闇 首都圏では順調だが、静岡は知事と泥試合へ

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シールド工法は地盤が比較的柔らかい都市部の大深度トンネル工事でよく用いられる。トンネルの地上に設けられた大きな穴からシールドマシンの部品を下ろし、地下で組み立てて掘進を始める。

鋼鉄製の筒状の機械に付けられたカッターヘッドが回転しながら前方の土砂を削り取り、ベルトコンベアで土砂を後方に運ぶ。掘った部分が崩れてこないように、掘進作業と並行してセグメントと呼ばれるパネルで壁を造る。工事完了後、シールドマシンは分解して地上に搬出される。ほかの工区で再利用されることもある。東百合丘工区では作業用の縦穴は完成後に非常口として用いられる。

2017年2月に縦穴の工事が始まった。その後、シールドマシンのパーツを地下に下ろして組み立てた後、2023年3月から9月までシールドマシンによる調査掘進を実施した。地表面の変位、振動・騒音、地下水位などを何度も計測しながらゆっくりと掘進し、半年かけて周辺環境への影響を確認した。

リニア工事 シールドマシン
トンネルを掘削するシールドマシン(撮影:尾形文繁)

「調査掘進」は計画どおり完了

2020年10月、東京外郭環状道路の地下トンネル掘削工事で東京都調布市内の道路が陥没するというトラブルがあった。その原因の1つはシールドマシンが掘進過程で想定より多くの土を取り込みすぎたという施工ミスだった。リニアの工事で同じ失敗は許されない。

調査掘進では泥土圧や取り込み土量の管理、泥土の性状確認などにとくに注意を払った。地表に騒音計や振動計を置いて地表への影響を確認したほか、周囲の井戸もチェックして水位の変化の有無も調べた。「調査掘進は概ね計画どおり完了した」とJR東海・中央新幹線神奈川東工事事務所の小野口博之所長は話す。

リニアトンネル工事 JR東海担当者
工事について説明するJR東海・中央新幹線神奈川東工区の小野口博之所長(撮影:尾形文繁)

現在、シールドマシンは133mの地点で停まっているが、今後はセグメントの搬入設備や掘削した土砂を搬出するベルトコンベアなどの設置といった準備工事の完了後、9月頃から本格工事となり再び動き出す予定だ。本格工事に際しては「住民と直接、工事関連の話し合いができるオープンハウスや24時間対応の受付ダイヤルを設置して住民のみなさまの不安が解消されるよう努める」(小野口所長)。工事完了予定は2026年12月である。

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