通勤快速廃止で炎上、京葉線ダイヤ「3つの疑問」 快速の各駅停車化で「混雑の偏り」は解消する?
ダイヤ改正の際、他社・他線区の例は参考にしないのだろうか。JR千葉支社に聞いてみると「他社線区の状況は把握していますが、線区ごとに状況が異なり、他線区の事例を単純に適用するのは困難と考えております」という。だが、私鉄では会社が違っても協力してできていることである。
また、東京駅では特急と快速が連続して発車する時間帯もあり、これでは各駅停車の間隔が拡がるのも当然である。これについては「蘇我駅で総武快速線からの内房・外房線直通列車と同一ホームで双方向に接続を取る体系としているため、東京駅の発車時間が限定される」ためという。だが、これも疑問である。蘇我駅で接続する内房線・外房線は千葉始発の列車もあるのに、接続を取るのは総武快速線からの直通列車でなくてはいけないのだろうか。JRはもっと柔軟に対応し、ダイヤの自由度を高めるべきだ。
このような「不整脈ダイヤ」はJR各線に目立つ。その理由について、京葉線沿線に住む交通評論家の佐藤信之氏は「私鉄は儲けなければならないのでサービスのいいダイヤにしようとするが、国鉄は安全に運べればいいという発想だった。JRになってもそれは変わらず、(輸送力の不足があれば)既存のダイヤに改正のつど隙間に増発するという考え方だから間隔がバラツキやすい」という。
私鉄のような発想なら、例えば京葉線と武蔵野線それぞれを各駅停車10分おき、両線併せて4〜6分おきとし、東京駅00・30分発を新木場、海浜幕張停車の特急、10・20・40・50分発を海浜幕張停車の通勤快速としたうえで快速を廃止するといった具合に、混雑バランスと速達サービスを両立できるだろう。
廃止の通勤快速と同時間帯に特急が
3つ目の疑問点は、「通勤快速の各駅停車化」という説明そのものだ。佐藤信之氏は「通勤快速とほぼ同じ時刻に特急を入れ、さらに各駅停車を1本削減とも書いている。単に通勤快速を特急化して料金を取ろうとしているとしか思えない」と指摘する。
確かにダイヤ改正の発表を見ると、蘇我7時44分発・東京8時26分着の通勤快速がなくなる一方、新設の特急は蘇我7時39分発・東京8時25分着とほぼ同じ時間帯だ。20分早起きするか、特急料金を払うかの選択を迫っているかのようだ。しかも所要時間は42分から46分へと4分長くなっている。
特急の運転とそのダイヤについてJR千葉支社は、「特急列車については一部沿線の自治体から要望をいただくなど、着席サービスに対するニーズにお応えしたいと考えております」としたうえで、「しかしながら、朝の通勤ピーク時間帯は、普通列車同士の運転間隔の調整や混雑の平準化もあわせて実施する必要があるため、線区全体のバランスをみて、特急列車や普通列車のダイヤを計画しております」と説明する。通勤快速の利用者に正面から向き合っているとは言いがたい。
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