債務超過「タカキュー」が陥ったスーツ低迷の険路 コロナ禍で店舗数半減、ファンド傘下で再建へ

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再建にあたり、みずほ銀行など金融機関から20億円の支援を受ける。うち約15億円は債権放棄、種類株の割り当てで約5億円を調達する。さらに新たなスポンサーとなるグロースパートナーズに種類株の割り当てで約5億円を調達し、債務超過解消を見込む。5月に増資が実行されたら、グロースパートナーズと銀行団が大株主となる。

タカキューは昨年8~9月にかけて約80社に向けて支援の打診を行い、うち16社との間で資料開示を含めた協議を進めていた。最終意向表明書を提出したのが、投資ファンド・事業再生コンサルなどを手がけるグロースパートナーズだった。

コロナで約8割の店舗が休業

競争激化やオフィスカジュアルの流れでスーツ需要の低迷が長らく続き、タカキューは2019年2月期に赤字に転落。不採算店の閉鎖を進める最中にコロナ禍が直撃し、大ダメージを負った。タカキューの店舗は、イオン系を中心に商業施設内が多い。コロナ禍では施設側の判断で休業するケースも多く、一時は最大で約8割の店舗が休業となった。売上高は大きく減少し、赤字幅は拡大した。

コロナ禍でさらに悪化した業績を立て直すため、構造改革を進めてきた。その1つが不採算店の撤退で、2019年2月末に302店あった実店舗は、2023年12月末時点で124店舗まで急縮小している。賃料の減額交渉に加え、希望退職の募集も行ったことで2023年3月末に97名が退職した。

足元は値上げによる客単価の上昇と、注力しているカジュアル衣料を軸に回復基調だ。今2024年2月期の売上高は期初の想定を上回るペースで推移しているという。

しかし上場廃止猶予期間である2024年2月末までに自力での債務超過解消は難しく、外部からの資金調達は必要不可欠だった。調達関連コストが膨らんだことなどが響き、今期は黒字化の予想から一転、水面下となる見通しだ。これで6期連続赤字となり、明るい兆しは見えてこない。

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