「時代の寵児」オーサムストアはどこで失敗したか 雑貨界で果敢な挑戦も、コロナ禍に売上が低下した

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私はオーサムストアを時代の寵児と書いた。もともと2014年に低価格雑貨店として東京の原宿にオープンした。そこから郊外のショッピングセンターを中心に店舗を展開してきた。そして、オーサムストアのモデルは雑貨界に対する、ある種の挑戦だった。

オーサムストアは安価な雑貨販売についてプチプラの嚆矢といわれる。ただ私のいう挑戦はそれだけではない。一般的に雑貨屋であれば、仕入れのセンスを問われる。何を仕入れて、どう陳列するか。コンセプトが問われる。

積極的な出店をしていた(画像:(株)リテールトランスフォーメーションHPより)

オーサムストアのどこが革新的だった?

それに対して、オーサムストアでは、単に仕入れと販売にはとどまらなかった。企画もする、デザインもする、店舗設計もする。さらには、商品の生産を担う海外企業とも商社を介在させずに交渉し、契約した。また、自社で生産管理を徹底するだけではなく、徹底的な品質維持にもこだわった。なんと商品を抜き取り検査ではなく、全品検査していたほどである。

さらにジャンルも、インテリア、キッチンだけにとどまらず、コスメ、食品、イベントグッズにも広げ、後述するペットグッズも拡充した。

近年は、低価格雑貨とは相性が悪いと言われたオンラインストアにも力を入れ、ならびに物流センターも稼働させていた。雑貨は低価格であるため、とにかく効率が悪い。さらに数量もまとまらない。さらに素材の問題があって乱暴には扱えないものばかりだ。簡単にいえば、普通は手を出さない。ファッション、アパレルと違って大企業は少なく、市場規模も大きくなっていなかった。

それゆえに、オーサムストアは雑貨界に挑戦をした。そして時代の寵児となった。ただしコロナ禍が売上を低迷させた。

私は、コロナ禍前の2019年に約55億円だった売上高が、2020年には約46億円と低迷していた事実を紹介した。

ところで、オーサムストアがコロナ禍で無策だったわけではない。むしろ、私には施策を次々と繰り出しているように見えた。

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