敷島製パンが「おしゃれパンカフェ」始めた事情 季節のスープとスプレッドで差別化を図る

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オーブンが小さいと作業自体はラクかもしれないが、パンを焼く回数が多く手間が増えるのではないか、と聞くと、栗田氏は「確かに、改良剤を入れればすぐに発酵します。しかし、プラスプレでは改良剤を入れず、発酵温度を低めにしているので、発酵時間が長く、時間の融通性が利くんです。アイテムも約60種類、うち1割程度を季節メニューと絞り込んでいます」と説明する。一般的なパン屋は、100種類ぐらい並ぶことも多い。

栗田氏はさらに、「生地の種類も絞りました。しかし、同じ生地でもフィリングや形、発酵時間、生地にかける負荷を変えると、食感が変わります」と補足する。パスタが、形が違えば味が変わるように、パンも同じ生地からさまざまな味わいが生まれるのだ。

「プラスプレ」の今後の展開は?

ポールは世界中で展開するフランスのブランドのため、さまざまな制約があるが、プラスプレは敷島製パンの自社ブランド。味噌や山椒など、和の食材も使う。「縛りがないので自由にパンが作れる。日本の良さや季節感も打ち出せる面白さがあります」と栗田氏は言う。

今後、時間をかけて日本らしさを打ち出すブランドを育て、3号店以降を開業していく見込みだ。海外進出も視野に入れている。その際は、敷島製パンが現地企業との合弁で香港に進出したことなど、海外とのネットワークが生きるだろう。

敷島製パンの試みは、パンを和食化させることで生活により深く根付かせ、消費機会を増やす挑戦でもある。人口減時代を生き抜くために、何ができるのか。本番はこれからだ。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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