「日経平均バブル超え」になったら何が起こるのか 日本株高騰の背景と株式市場が待ち受けるリスク

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実際に、 これまで「中国ロング(買い)、日本ショート(売り)」をセットに裁定取引で利ザヤを稼いできたヘッジファンドが、この1月の日本株の爆上げでマクロファンドを閉鎖した、とブルームバーグが紹介している(2024年1月25日配信、コラム「日本と中国で危険な賭けに出るヘッジファンドに告ぐ」)。

一方、個人投資家の売買動向は、1兆695億円の売り越しとなっている。要するに、新型NISAスタートによる個人投資家が、日経平均株価急騰の「主役」になっているわけではない、ということだ。では、日本株が高くなっているのはなぜなのか。いくつか要因があるのだが、長期的な視野で見た場合、次のような要因が考えられる。

1.上海、香港から東京へ?世界のマネーの流れが変化

年初来の株価の推移を見ていると、日経平均が3000円も上昇する中で、中国の上海総合指数は1月3日の2967.25からずるずると値を下げており、1月22日には2756.34まで下落している。同様に香港ハンセン株価指数も年初には、1万6788.55だったのが22日には1万4961.18に下落している。中国関連の株式市場から資金が流出し、その受け皿として東京市場が高騰していると見ていいだろう。

こうした背景には、中国の景気減速懸念がある。昨年の中国は、5.2%の経済成長率を達成したが、今年はそこまで成長できるか懸念されている。構造的な不動産市場の不振、消費者物価指数の低迷といった現象が、日本のバブル崩壊時に似ているという指摘もある。2023年に引き続いて、2024年もまた民主主義国家グループと覇権主義国家グループによる軋轢は深まる一方だが、株式市場への投資行動にも大きな影響をもたらしているようだ。

2.「日銀によるETF買い」が支える日本株?

現在の日本株が回復した背景の1つに、日銀の「ETF買い」があることはよく知られている。日銀が日本株を支えるためにETFに投資を始めたのは、アベノミクスが始まる以前の2010年度下期だが、すでに13年も継続していることになる。日経平均がバブル超えに近づいているとはいっても、日銀のETF買いがなければ、日本市場はいまだに低迷を続けていたはずだ。

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